第二章「エターティアの風」
第五話「ガーディアン・オーブ」
−ブリーフィングルーム−
グランサー隊がそろってから2ヶ月がたった。ひたすら訓練の日々だった。
今日の訓練メニューが全部終了して、みんな休んでいるところだ。
ようか「初任務だ。」
シー「本当ですか!?」
ようか「ああ。惑星エターティアに行き、ロストテクノロジーを回収する。」
プラリネ「やっとお仕事が来たわねー」
シャルロット「この2ヶ月間、ずっと訓練だったからね。」
ようか「但し、マドレーヌ、ジェラードは今回は留守番だ。」
ジェラード「えー!何でですかぁー?」
マドレーヌ「たぶん…あたし達の訓練が進んでないからじゃ…」
ようか「そうだ。私がいない間はシュトーレン中尉が教官として2人につく。」
ジェラード「シュトーレン中尉?」
ようか「エンジェル隊のリーダーだ。」
プラリネ「そういえば、あたし達ってまだエンジェル隊に会ってないよね?」
ようか「エンジェル隊も暇じゃないらしい。またの機会だな。」
シャルロット「いつ、出発するんですか?」
ようか「明日の朝だ。夜の内に準備をしておいてくれ。それじゃあ、解散だ。」
−翌日 白き月・格納庫−
ようか「全員いるな。」
シャルロット「はい。」
シー「少しわくわくしますね。」
プラリネ「うんうん。昨夜、あんまり寝られなかったよ。」
ようか「まったく…遊びに行くんじゃないんだからな。よし、行くぞ。」
クレータ「皆さん。準備は宜しいですか?」
シー「1号機・ミルキータイタン。準備完了です。」
シャルロット「3号機・スターダストファントム。コンディション・オールグリーンよ。」
ようか「4号機・ソードマスター。行けます。」
プラリネ「6号機・リキッドアルケミー。いつでも行けるわよ。」
クレータ「3番ハッチからエターティアに向かってください。」
ようか「発進後、すぐにクロノドライブに入るぞ。各機、遅れるなよ。」
全員「了解!」
惑星エターティア
中世ヨーロッパの時代を感じさせる惑星。豊かな自然が豊富の美しい惑星。
その豊かな自然を目当てに別荘地や避暑地として人気が高い。
科学力は進んでいないがロストテクノロジー(解析済み)が惑星を管理している。
天から伸びる宇宙港、通称「光の塔」は人々の象徴になっている。
プラリネ「いいなぁ。ダーリンと結婚したらココに住もうかしら。」
シー「プラリネさんは婚約者がいるんですか?」
シャルロット「そうよ。でも、あんまりその事言うとノロケが止まらなくなるわよ。」
ようか「もう、慣れたがな。」
プラリネ「あぁ…愛しのダーリン…」
シャルロット(………。置いていこうかしら…)
とか、何とかやり取りをしている内にエターティアに到着。
入港許可を取り地上に出ると(紋章機は中に入れない)そこはもうRPGの世界である。
シー「うわぁ!すごいですねー!」
ようか「シャルロットとプラリネは何の違和感もなく溶け込めるな。」
シャルロット「黒魔術師と錬金術師みたいな制服ですからね。」
プラリネ「隊長。これからどうするんですか?」
ようか「ちょっと待て。もうすぐあいつが…」
???「ようか。はい、これ。数多いわよ、大丈夫?」
ようか「ああ、大丈夫だ。ありがとう、かなめ。」
シー(今のは何?)
ようか「私とシー。シャルロットとプラリネの班で回収だ。場所はデータで送っておく。」
シャルロット「了解です。」
−市街地内 グラッセ邸−
ようか「ここだな」
シー「お城みたいな家ですねー」
???「おや?お嬢さん方、何かうちに御用でしょうか?」
ようか「ここの、主の方でしょうか?」
カイン「いかにも。カイン・グラッセと申します。以後、お見お知しきりを。」
ようか「お時間、よろしいでしょうか?」
カイン「もちろん。こんなトコでも何ですから中へご案内致しましょう。」
中へ案内される2人。吹き抜けになっている玄関ホールを抜け、奥の応接室に案内される。
歩きながら、簡単な自己紹介をすます。
カイン「ロストテクノロジー?」
シー「はい。我々はそれを回収・調査しに来ました。」
カイン「ロストテクノロジーがこの屋敷の中にあると?」
ようか「はい。この屋敷を調べさせてもらっても宜しいでしょうか?」
カイン「私も一緒に行くという条件で呑みましょう。」
地下室へ向かう3人。カインが鍵を開け中に入る。
カイン「どうぞ。て、ほとんど何も無いですがね。」
ようか「あれは何だ?…」
シー「キレイですね…」
カイン「あれは…ガーディアン・オーブ。この国を守る19個の内の1つです…」
ガーディアン・オーブは台座に固定され、見るものを魅了する輝きを放っていた。
ようか「あれかもしれないな…」
シー「回収しても良いですか?カインさん?」
カイン「ダメです。あれを動かすと再び邪神が、復活してしまいます…」
ようか「邪神か…」
ようかは過去に聞き覚えがあった。
この惑星エターティアは過去に二度、邪神のせいで恐怖のどん底になった事を…
カイン「お引取り願いましょう。」
ようか「分かりました。」
シー「隊長!?」
ようか「指令に報告するのが先だ。2人に連絡を」
シー「了解です。ルリさん。プラリネさん。紋章機に戻ってください。」
シャルロット「了解。」
−宇宙港 光の塔−
ようか「………と、まあこういう訳だ。そっちはどうだ?」
シャルロット「雛菊神社に行ってきて雛菊という人と会いましたが同じ事を言われましたね。」
プラリネ「妖精も2人言ってたよね。ルビーとサファイアって名前の。」
シャルロット「ええ…「この石を再び動かすと恐怖が舞い降りる」と…」
ようか「どうしましょう?指令?」
通信・アナ「回収しなさい。出来ないなら、回収部隊を送るわ。以上よ。」(通信切れる)
シー「え、ちょっと!?指令!」
シャルロット「どうしますか?隊長…」
ようか(えぇい!指令は何を考えているんだ!この星がどうなっても良いのか!?)
ただならぬ空気が周りを包む…
第六話「開かれた地獄の扉」
−白き月−
アナ「ふふふ…やっぱりあったわね。ガーディアン・オーブが…」
フォルテが部屋に入ってくる。
フォルテ「お呼びですか?アナ大尉。」
アナ「今から、回収部隊の護衛のためにエターティアに向かってちょうだい。」
フォルテ「護衛ですか…」
アナ「ええ。大事なものだから護衛が必要なのよ。」
フォルテ「…了解しました。」
部屋を出るフォルテ。ほくそえむアナ。
フォルテ(…何かあるね…あの2人も連れて行ったほうが良いね…)
−宇宙港 光の塔−
ようか「くそっ!どうすればいい…」
シー「隊長…」
シャルロット「回収しないほうが良いと思います。」
プラリネ「同じく。」
シー「私もです!だって…邪神が復活したら…また…」
ようか「お前達…」
プラリネ「…意気込んでるトコロだけど…もう回収部隊が来てるみたいね…」
レーダーを見てつぶやくプラリネ。他の3人もレーダーを覗き込む。
シャルロット「何ですって!?」
ようか「力ずくでも持っていく気か…」
シー「止めさせましょう!」
シャルロット「でも…どうやって止めさせるの?」
プラリネ「星内には入られたら終わりよ。見つけられなくなるわ。」
かなめ「ようかっ!大変よ!」
ようか「どうした?」
かなめ「回収部隊が既に星内に入っているわ!」
全員「え!?」
ようか「回収する地点がわかるか?」
かなめ「今やってるんだけど、一般人に溶け込んでて、時間がかかってるわ。」
ようか「1番可能性が高いトコロで良い。どこだ!」
かなめ「雛菊神社の奥にある『封印の森』の湖の畔にある洞窟よ。」
ようか「よし!急ぐぞ!」
かなめ「アタシは他のところを止めるわ。」
全員「了解!」
シー「ゼッタイに止めてみせる!」
−封印の森 湖畔の洞窟−
調査員1「よし。これだな。」
調査員2「気をつけろよ。何が起こるか分からんからな。」
調査員1「へへっ。楽勝だぜ。」
調査員2「そだな。早いトコ済ませちまおう。」
ガーディアン・オーブを動かすと周りが薄暗くなり、突如地鳴りが…
地鳴り「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォーーーー」
調査員1「な、何だ?」
調査員2「うわっぁーーーーーーーー!助けてくれぇぇぇぇーーーーーーー!」
調査員1「おっぉ、おい!っうわぁーーーーーー!」
調査員3「どうしたーー2人ともーーー!」
洞窟に着いたグランサー隊。
ようか「っつ!遅かったか!」
シー「あ、あ、あれ!」
調査員3「うぎゃぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」
何かに引き込まれながらぐちゃぐちゃになる調査員。断末魔の叫びが当たりに響く。
その光景に耐え切れず、シーが絶叫する。すぐにシャルロットが覆いかぶさる。
シー「いやあああああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!」
シャルロット「シー!見ちゃダメ!」
プラリネ「酷い…」
ようか「何か…出てくる…」
すざましい気迫が辺りを包む。ようかは構えの姿勢をとる。
少年らしき人物が出てきて呟く。
邪神「うーん。人間て言うのは相変わらず弱いねぇ。」
プラリネ「あれが…邪神…」
そこに、カイン、雛菊、ルビー、サファイアがやって来て絶句する。
ルビー「復活してしまってる…」
サファイア「お姉ちゃん…ウソだよね…」
雛菊「いいえ。現実です…サファイアちゃん…」
カイン「邪神め!…」
邪神「久しぶりだね。僕がいなくて寂しかったろ?」
カイン「貴様ぁ!」
カイン、雛菊は剣を構える。その一方で邪神は笑っていた。
邪神「後ろの君達も、もう少し来るのが早ければ、ボクは復活しなかったのにねぇ」
ようか「………」
邪神「ふはははっ!さあ、絶望の宴を始めようじゃないか!」
三度目の災いがエターティアを襲おうとしていた…