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〜ギャラクシーガーディアンズ〜




第二章 『始まり』

第四話



ようかは要の部屋の前に来た。
ドアをノックしようと手を動かした瞬間。
ドアが開き、中から要の顔が出てきた。
要:「やっほ。13時になったから外に出てみたら…偶然ってあるのね〜。」
ようか:「そ、そうね。」
と少し驚きながら返事をした。
要:「さてと!行きますか!」
と、完全に部屋から出てきた要が言った。
ようかは要の姿に少し違和感を持った。
思わず観察していると、要が
要:「ん?どうかした?」
ようかに聞いてきた。
ようか:「ううん。何でも…」
と言った瞬間、要の腰辺りに目が止まった。
そこには、円筒形の明るい茶色のホルダーが2つ。
要はその視線を追って
要:「あぁ、これ?これはアタシの武器…篭手だよ。ちょっと、見てみる?」
と言って、片方取り出す。
それを丁寧に受け取り、眺める。
意外とスマートなフォルムだ。
色は黒一色。
大きさは、篭手なので肘辺りまで。
見終わり、要に返す。
それを受け取り、ホルダーに直す。
要:「早くこれ着けてようかと闘いたいな〜。」
ようか:「えっ!?「闘う」って!?」
それを聞いたようかはビックリし、要に尋ねた。
要:「あぁ、そーいやぁ、教えてなかったね。まっ、とりあえず行こうよ。
向こうに言ってから説明するからさ。」
そう言うと、「行こ行こ」とようかの背中を押し、無理に歩ませた。
「う、うん…。」と、ようかは歩き始めた。

ようか:「え?ここ?」
と思わず口に出してしまった。
ようかと要は、目的地に着いていた。
要:「うん、そうだよ?」
と答える。
ここは『銀河公園』。
ようかは初めて訪れた。
まず、その場所の緑の美しさに驚いていた。
そして、「何故ここに?」という疑問が浮かんでいた。
奥に、たくさんの人が集まっていた。
よく見ると、乗組員たちのようだ。
要がその方向に歩き始めたので、ついていくと、
エンジェル隊,タクト,シヴァも居ることが分かった。
歩きながら、要に聞く。
ようか:「今から何をやるの?こんな大勢が居る所で。」
要:「そうよねぇ〜。いい加減説明しないとね。とりあえず、オセのとこまで行こうよ。」
と言って、オセたち他の親衛隊が規則正しく並んでいる所へ向かい出した。
その場に辿り着くと、早速要が説明を始めた。
と言っても、ようかにではなく、その場に居る全員に。
マイクを親衛隊の隊員から受け取り
要:「はーい!今日は、集まってくれてありがとー!」
と挨拶をし始めた。
ようかは「えっ!?」と驚いた。
要:「遂に!皆が待ちに待った、紫劉ようかvs親衛隊メンバー!!」
「わぁーっ!!」と、周りのクルー達が歓声を上げる。
またも、ようかは驚いた。
目を大きく開け、「これは一体!?」と、要に答えを得ようとする。
要が説明し始める。マイクを口に当てながら。
要:「知ってる人多数だろうけど、新人さんとか入ってるかもだから、
かる〜く説明を始めまーす。」
と、ようかを含め、知らない人のために説明を始めた。
要:「このイベントは、アタシが考えたわけね。内容は、この親衛隊に入る
新入隊員の力を試すために、数人の現メンバーと闘うわけ。
ちなみに、隊長のアタシと副隊長のオセとも闘うことが出来るの。ただ、
勝ち上がった者だけだけど…。そして、このアタシに勝つことが出来たら…
相手の言い分関係なしに、「親衛隊隊長」になってもらいます!!
そのときのアタシは、「親衛隊副隊長」に格下げってわけね。
この勝負は、オセ戦から、武器の使用が可なの。
ようかの場合だと、刀―つまり真剣を使ってもいいってわけ。
かなりの真剣勝負になるから、観客の皆も、余計なを飛ばさないように。
…っと、以上が簡単な説明。」
と、一度間を空け、「質問がある人!」と、自分の右手を上げながら周りを見渡した。
ようかは、質問したかったが、あえてしなかった。
そして、こう思った。
ようか:(要が時々口走っていた"あれ"って、この事だったのね…。)
要は、質問者が居ないのを確かめると、さっそく事を始めようとした。
マイクを、最初に持っていた隊員に渡すと、自分は特設観覧席へ。
そこには、シヴァ皇子,タクト,エンジェル隊が居る。
ちなみにレスターは、「くだらん。」と一言、ブリッジで待機している。
隊員A:「さぁ、紫劉選手!準備をお願いいたします!」
と、マイク片手に大声でようかに。
ようかは一瞬と惑ったが、気を取り直した。
後ろに、一人の隊員が、両手を出している。
ようかは察し、腰から刀を外し、その隊員の両手の平に、そっと乗せた。
ようかは要に目を向けた。
「がんばってね〜」といった感じで、要が手を振っている。
ようかは頷き、既に待っている相手の目の前へ。
隊員B:「女だからといって、容赦はしないぞ?」
と野太い声で、ようかに言った。
かなりの巨躯で、鍛え上げられた筋肉が凄い。
ようか:「お気になさらず…。さぁ、始めましょう!!」
どちらとも、やる気は満々だった。
ようかは静かに構える。
刀がないのに違和感を覚えたが、これでも一応、格闘技は父―ようまから習っている。
いざ万が一、刀を奪われたりした時のためだ。
隊員B:「いくぞー!!」
と突っ込んでくる。
やはりどこかで「所詮は女」と思っているのだろう。
それが、この男の敗因だったことは、間違いない。
勝負は一瞬だった。
男が伸ばした右手を両手で素早く掴み、相手の突進力を利用して、投げ飛ばす。
よろけながらとどまろうとする相手に、素早く接近したようか。
地を蹴り、右足を綺麗に真っ直ぐ伸ばし、男の後頭部に当てた。
男は、地に伏した。
それを見ていた観客は、一瞬間を置いて―「わぁぁぁーーっ!!」と歓声をあげた。
隊員A:「しょ、勝者、紫劉選手!!」
「ふぅ」と汗をぬぐい、次に備えるようか。
オセ:(ふっ、中々やる…。これは、要も…自分も危ういかもしれぬな…。)
そう思いながら、隣りの要を見た。
かなり嬉しそうに笑っている。
「ようかが勝ったから」だけではない。
「ようかが自分の想像していたくらいに強かったから」だ。
オセ:(こいつ…。)
と苦笑いをした。
次からの勝負も、ほぼ一瞬だった。
どんどん自分よりも強そうな男達を蹴りを巧みに使い、倒していく。
足が長いようかにとっては、蹴りなどの足を使う技の方が得意なのだ。
廻し蹴りや踵落としなど、見ているほうは惚れ惚れしてしまうほど、様になっていた。
そして遂に、誰も挑戦者が現れないという事態になってしまった。
隊員A:「誰か、誰か、挑戦する者は居ませんかー?」
問い掛ける。が、誰も出てこない。
オセ:「ならば、自分の出番だな…。」
要の隣りに座っていたオセが立ち上がった。
それを聞いた観客達が、盛り上がる。
オセ:「槍を!!」
と隊員に言う。
すると、3人がかりで、槍を持って来た。
それほど重いのだ。
槍を片手で軽々と受け取り、ようかの前へ。
オセ自身も、かなりの長身だが、槍はそれ以上に長かった。
それに、刃の部分が、通常よりも2回り以上も大きいのだ。
それを見ただけで、普通ならば"恐怖"が生まれ、逃げるであろう。
それの頭上で大きく振り回して―!―刃をようかに向け、構えた。
オセ:「紫劉ようか殿!!このオセ・ハーバードランドと、勝負を所望せん!!!」

ようかは、隊員から刀を受け取った。
なんだかこの感触が懐かしい…。
それを腰に刺した。
目の前で、オセ副隊長が、頭上で槍を振り回している。
そして―、勝負を所望してきた。
もちろんようかは、ここで逃げるつもりはない。
ようかは相手を真っ直ぐ見た。
そして…。
ようか:「不肖、紫劉ようか!その勝負、受けてたちます!!!」
会場は、さらにヒートアップした…。
その様子を眺めていた要は、嬉しそうに笑顔を保ったままだ。
隊員A:「さぁ、スタートです!!」
その言葉が、2人の耳に届いた。

つづく。



つづく

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