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リアルorシュミレーション?

5人は格納庫前に集合していた。

「さ〜、気合入って来たわよ〜!!」

一人やる気満々のエリナ。それをよそに瑠兎が尋ねる。

「ねえ、エリナちゃん。この格好は?」
「ん、ああ、これね。何でもトランスバールでは女子が特訓する場合この格好らしい…だって。」
「そうなんだ。でもちょっと恥ずかしい…」
「それって初耳〜600年も経つとやっぱりかわるんだね〜ねぇ、フェル。」
「はい…そうですね…」

よく分からないが納得する600年前の人間と別銀河のエルフ達だった。

「ち、違うと思うけど…」

一人トランスバール育ちのティニーだけが違和感を感じていた。
が、このメンバーに何を言っても無駄だと思い、諦めのため息をついた。

「よ〜し、がんばるぞ〜!」
「「「お〜!!」」」

5人はなぜにか体操服にブルマ姿。
エリナは一体に何を参考にしたのかは置いておき、4人は気合満々だった。
当然ながらそんな格好の5人は格納庫内の注目の的だった。

「ティニーちゃんどうしたの〜」

隅のほうでかなり赤面しているティニーがいた。

「だ、だってこんな格好で…みんな見てるし…」
「なに言ってんのよ!さっきまでのやる気はどこ行ったの!!」

そんなティニーの腕を無理やりひっぱるエリナ。

「恥ずかしいですよ〜」

エリナに引っ張られてる際に、ティニーは見た。
机の上にのっている一冊の本を。

「『萌キャラ用語集』…」

それをみた瞬間にティニーの力が自然と抜ける。

(ダメ。もう何を言っても無駄かも…)
 
 
 
 
 
 

「…まずは準備運動ですね…」
「は〜い」

フェルは準備運動のメニューが書かれた紙を渡した。

「え〜っとなになに。」

紙を見た瞬間にティファを除く3人は一瞬、硬直した。
その紙の内容は…

秘密の特訓メニュー(準備運動編)
各所ストレッチング
ランニング 10km
腹筋   500回
背筋   500回
腕立て  500回
スクワット500回
受身   5000回
三角飛び 300回
バク転  200往復
素振り  2000回



 

「あの〜フェルさん?」
「…?どうしました?」
「これを本当に準備運動ですか?」
「…はい。これでもいつもより少ないのですが?」
「で、き、る、か〜〜〜〜〜!!!!」

怒りに駆られるエリナ。
瑠兎はいまだ硬直状態。
ティニーはめまいを起こし倒れている。
そんなことはよそにしてティファが…

「これなら半日で何とかできるかも〜」
「あんた達が出来ても、あたいらは絶対に無理!!3日あっても無理よ!
大体三角跳びとかバク転って何よ!!」
「実戦では結構使うので書いてみたんだすけど…。」
「絶対に無理!!!訂正!訂正!!即訂正よ!!あんたマジで私たち殺す気?」
「別にその気はありませんが…。分かりました…新しいの今用意しますね。」
「当たり前よ!!まったくどういう頭してるのよ。」

フェルは少し残念そうな顔で紙を集め、新しいメニューを作りに戻った。

5分後…

「はい…新しいのです…」

再びフェルは紙を配った。
4人は新しく配られたメニューに目を通す。
初めはホッとした様子だったが最後まで読んで次々と目の色を変えていく…

「あの〜フェルさん?」
「…どうかいたしました?エリナさん。」

新しい紙の内容は…

秘密の特訓メニュー(準備運動編2)
各所ストレッチング
ランニング 5km
腹筋   100回
背筋   100回
腕立て  100回
スクワット100回
受身   200回
素振り  300回


一見普通のメニューに見えるが…

「フェルさん。一番下のは何ですか?」
「えっ…これがないと特訓とはいえないと思ってので…」

一番下に書かれていたのは…

鉄ゲタ(片側10kg)着用のこと。
 

「一番下のは何ですか?」

エリナは改めてフェルにたずねる。

「特訓ですから…」

平然と答えるフェル。

「鉄ゲタってどういうこと!?大体そんなものどこにあんのよ!!」
「あ…それならそこに…」

フェルが指差した方向には分厚い鉄ゲタが5人分しっかりと綺麗に用意されていた。

「一体どこから用意したのよ…」

半分呆れ気味にエリナは言い放った。

「そこまで言われるのなら仕方ありませんね…。鉄ゲタは無しにしますね…」
「当たり前だ〜〜!!」
 
 
 
 
 
 

結局、鉄ゲタ抜きので準備運動を済ました5人。

「ふ〜、こんなものね。」
「なんだか物足りないな〜」
「…そうですね…」
「う〜、もうヘトヘト。」
「同じくです。」

ぜんぜん余裕のフェルとティファ。
ちょうどいい感じのエリナ。
もうすでにクタクタの瑠兎とティニー。
体力がすごく分かりやすく分かれていた。

「そこの二人。そろそろ次のメニュー行くわよ〜」
「「はい〜」」

移動中にふとティニーの頭の中に一つの疑問が浮かんだ。

「あの〜フェルさん?」
「…はい?なんですか…」
「紋章機の操縦にこの準備運動とどんな関係があるのですか?」
「やってみればわかります…」
 

その後5人は妙な特訓ばかり繰り返していた。
複数のスーパーボールを掴む練習。
鉄棒による数々の技の練習。
迷路内での鬼ごっこ。
お化け屋敷内での探し物などなどまさに奇妙としかいいようのない特訓だった。

「フェルさん〜これって本当に意味があるんですか?」

何度もこの問いがかけられるフェルだったが…

「やってみればわかります…」

いつもこの一言で済ましてしまう。
 
 
 

特訓を開始して1週間後…

「今日は紋章機による操縦訓練に入ります…」
「「「やった〜」」」

瑠兎、ティニー、エリナはやっと紋章機の特訓に入れて喜ぶ。

「う〜ん、私は今までの方が楽しかったな〜」

ティファだけは少し残念そうな顔をしていた。

「それでどんな訓練なんですか?」
「はい…私があなた達を攻撃します…ですからそれを回避して私の紋章機に攻撃を当ててください…
一発でもあたれば合格です…」
「へ〜〜なるほど〜」

4人はしばらく納得した様子だったが…

「「「って実戦じゃない!!!」」」

瑠兎、ティニー、エリナは同時に叫んだ。

「う〜ん、フェルは強力だからな〜気を引き締めないと。」
「そういうレベルじゃないでしょ最下位!!相手はトップよ!!」

実際、例のシュミレーションで、フェルが敵の攻撃を受けた所を見たものはいなかった。
つまりこの特訓、一言で言えばシュミレーションの能力を超えろ。
そういうことだった。

「よ〜し、こうなったら!!」
「あ、エリナさん、サテライトイージスは合体機能は使ってはいけませんよ…」
「ええ〜〜〜!!!」
「瑠兎さんも例の力もダメですよ…当然私も使いませんから…」
「はい。」
「特訓で死んじゃうってことは…」
「私はペイント弾しか積みませんから安心してください…」

フェルは時計をふと見た後、

「もうそろそろ時間ですね…皆さん自分の紋章機に乗り込んで下さい…」
「「「「はい。」」」」

5人はそれぞれ自分の紋章機に乗り込むとその後、一気に宇宙へと飛び立った。
もっとも厳しい特訓の幕開けである…
 

続く…