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第六話 新造『艦』フォルティオール




真紅色のCHAOSの艦。
ブリッジには一人の白髪の老人が立っていた。
老人は神官のような衣服を身にまとい、杖を持っていた。
老人は不機嫌な様子で、視線の先の少女に声をかける。
「サティール・ディアブール。これはどういうことかね?
誰が白き月を破壊しろと命じた?」

「しかし、あれは我々にとっては障害になるもの。
こちらの物に出来なければ破壊を…」

「あれは我々にとっても必要になるものだ。
それをこの私の許可無しに攻撃、さらには破壊に至るか。
あの者が居なければ本当に破壊されていたぞ。」

「あの者?まさか…」

「先に調査に入れておいて正解だったな。
だが、あそこに干渉者が居たことは計算外であったな。
報告では受けていたが、これほどの能力だとは。
今後の作戦に影響が出るやもしれん。」

「では、今一度、打って出るべきではないのか?」

「ならん。今はクウェンが持ち帰ったアレを完成させなければならない。
こっちの問題は後回しだ。いいな。」

「しかし…」

「くどいぞ、サティール。もう下がるがいい。」

「はっ。」

サティはブリッジを後にした。

「所詮はまがい物にしか過ぎないか…」

老人はそう愚痴をこぼす。
しかし、クウェンが持ち帰ったモノの資料を見るなり笑みを浮かべる。

「これからが楽しみだ。なあB.K.」





白き月。
周囲を見渡すディアボロスとノア。

「かなりやられたな…」
「ええ。」

白き月内部は後片付けで大忙しであった。
何しろ白き月の7分の1が消滅し、辛うじて最低限の生命維持機能が働いているレベルであった。

「ディアちゃ〜ん。」

駆け寄ってきたのはティファだった。

「ティファか。お前も無事だったみたいだな。」
「こっちのほうは攻撃を受けたのと、ほとんど反対側だったから。」
「そうか。ところで後ろにいるのは誰だ?」

ディアボロスはティファの後ろから付いてきた青年、クエーサを指差す。

「お初にお目にかかります。ドイステルベルグ少将。そしてノア様。
私はクエーサという者です。
傭兵を生業としております。」

「傭兵ね。どうして部外者が白き月にいるのかしら?」

ノアはクエーサに尋ねる。

「軍の方に雇われました。詳細に関しては極秘任務の為、お知らせできませんが。」

「近衛軍所属の俺様でもか?」

「はい。こちらも依頼主と信頼関係もありますから。」

あくまでも穏やかな表情を崩さないクエーサ。

「まぁ、そういうことなら、仕方ねぇけどよ。」

「それにしても、トランスバールでは見かけない服装ね。」

ノアはクエーサの姿を見て一言、言う。

「あ、ノアさんいい所に気が付きましたね〜
聞いて驚かないでくださいね。
クウェーサさんは別の銀河から来たのよ。」

「別銀河?まあ、そういう可能性はあるかもしれないわね。」

「あれ、驚かないの?」

「あなたね。自分達の部隊にも別の銀河から来たのが居るでしょう。」

「あ、瑠兎ちゃんとエリナちゃんか〜」

「は〜、自分達の部隊なのだから、そのくらい覚えておきなさい。」

「は〜い。」

「そういえばティファ。キュウィー達はどうした?」

「あっ、そういえば。穴に落ちたんだ。声は返ってきたから大丈夫だと思うけど。」

「そうか。なら、二人の捜索を含めて、引き続き救助作業に戻ってくれるか?
俺様達はシステムの復旧に行く。」

「了解〜。」

そして再び二手に分かれた。
ティファとクエーサもまた、負傷者の捜索に出て行った。
そして3時間後…

「どうやらこれで一段落付きましたね。」

「うん。さすが傭兵さん。力持ちだし、手際も凄かった〜」

「いえ、貴女もですよ。」

「ありがとう。体力には自信があるんだ〜」

そのときクエーサの持つ通信機から音が出た。
クエーサは通信機を手に取ると、画面を眺めた。

「ティファさん。」

「どうしたの?」

「すみません。そろそろ私は仕事の方に戻らないといけません。」

「えっそうなの?
そっか。クエーサさん傭兵だもんね。仕方ないっか。
また、会えるかな?」

「ええ、いずれ。」

クエーサは軽く微笑むとティファにお辞儀をした後、その場から去った。















その数時間後、トランバールは大きく揺れた。
ある一報により…
その内容とは。

「シヴァ陛下とシャトヤーン様が誘拐されただと!!」
『はい。突然正体不明の艦隊が襲い掛かってきまして。』

状況はこうだ。
シヴァとシャトヤーンはトランスバールに戻るために宇宙船に乗っていた。
その間にCHAOSによる同時襲撃があったのだ。
しかも丁度クロノドライブの途中であり、他との通信は一切出来ていなかった。
そしてドライブアウトした先にCHAOSの艦隊が目の前に広がっていた。
護衛艦もついてはいたが、戦力比は単純に10倍を超えていた。
そこで敵艦より通信があったという。
二人と敵との三人だけの会話が行われた。
そして護衛艦には手を出さずに宇宙船をCHAOSに連れて行かれたという話だ。




更に数時間後。
軍部により緊急会議が開かれた。

「まずは現在の状況を説明します。」

「CHAOSは、第二方面より襲撃。
結果我ら皇国の第二方面の半分を敵勢力によって奪われた。
さらに同時にEDEN本星のスカイパレスも同時襲撃。
それで尽きることなく白き月をも襲撃。
そしてシヴァ陛下、シャトヤーン様を誘拐。」

「その周囲に何か変化は無かったのか?」
「一箇所を除き、変化はありませんでした。」
「一箇所?」
「はい。惑星ファルドの正体不明の襲撃です。」
「その時はどうだったのか?」

「その時も数日前までは変化は見られませんでした。
しかし事故当日になり、クロノドライブ反応が起きたと…
そして今回も同様な現象が起きたという話です。」

「…つまり敵はクロノスペースに潜んでいるということかね?」

「そうですね。
あるいは、我々より優れたクロノドライブ技術を持ち、一度でそれだけの距離を移動したのであれば可能でしょう。
実際にCHAOSが現われたポイント全ては航路として一本線にすることが出来ました。」

「なるほど、対処する方法はあるのか?」

「はい。ドライブ可能のポイントに障害物を設置し、クロノドライブを不能にしてしまえばよいかと。」

「それでは我々はどうするのだ?」

「ポイント手前でドライブアウト、通常航行で移動します。
そして障害物を超えた後、再びクロノドライブに突入してもらいます。」

「そうなると、移動に余計な時間がかかる。
それに障害物もタダというわけにはいかないだろう。
もっと効率的な方法は無いのか?」

「それは…」

そこでディアボロスが手を上げ、発言を行う。

「こっち側に障害物を置かずに敵の領域内に配置したらどうだ?」

「どうやって?」

「さっきの話が本当なら、その航路から敵の居場所が突き止めることが可能じゃないのか?
惑星ファルドの位置と今回の襲撃のポイント。そしてその艦隊のタイプと数。」

ディアボロスは正面に写る宇宙航路図に書き加えていく。

「今回の場合、第二方面から現われた艦隊数が一番多い。
クロノスペース内に移動できる艦隊数には限りがある。
つまり、敵の居場所は…」

ディアボロスはそのエリアを赤く丸をつける。

「ここだ。」

「しかし、確証はあるのか?」

「他にどこがある。
もし、仮に一部通常航行なら各駐留ポイントで観測される。
それさえなかったことを考慮しても第二方面の先、アドナス星系の他に考えられないな。
それにたとえ間違っていたとしても第二方面に住んでいる惑星の住民を解放することも必要なことじゃないのか?
開放と同時に敵の動きを遮ることが出来る。一石二鳥の策だと思わないか?」

「そんな確証のないことに軍が動かせるものか。」

その一言にカチンときたディアボロスだった。

「そんな事言っている場合じゃないだろ!
軍が動かせる、動かせないじゃない!
動かさないといけないんだよ!
CHAOSに占拠された人々はどうなる!
俺様達以外に誰が助けるんだ!
それに、シヴァ陛下とシャトヤーン様もそこにいるかも知れないのだぞ!」

「すぐに戦闘をやれというのか?君は。」
「そうだ。先の戦いでも我らは多くの艦隊を失っている。
今から準備をするのにも時間がかかる。
白き月もスカイパレスも復旧は必要であろうし、今はそんな確証の無いことに兵を動かせない。」

「いい加減にしやがれ!!
戦えるだけの戦力を持ちながら何もしないつもりか!?」

「だから今は準備に時間が…」

「何のための軍だ!艦隊だ!
自分の国の女皇も住民も助けない軍に何の価値がある!!」

「ドイステルベルグ少将。口が過ぎるぞ!」

「だまれ!この中であの戦場にいたやつはどれだけいる?
ほんの一握りじゃないか!
それ以外は本星のシェルターに逃げ怯えていたって話じゃないか!
そんなヤツがココにいること自体が間違っているんだよ!!」

「いい加減にしろ!ここは軍の会議の場だぞ!
ディアボロス・ドイステルベルグ少将。お前には3ヶ月の謹慎刑を命じる。
同時にお前が指揮する黒き翼も謹慎の期間中解体とする!
だれかコイツを連れて行け!」

警備兵がディアボロスを取り押さえる。
本当ならこんな警備兵ぐらい軽く跳ね除けられる。
だが、さすがにそれをやると謹慎刑ですまなくなることをディアボロスも知っている。

(ちっ少し熱くなりすぎたか?)

そう自分で反省しつつ、警備兵と共に会議室を後にした。


ディアボロスが部屋を出た後、会議は休憩時間に入った。
休憩室の端にてボストンとその部下が話し合いを始める。

「全く、困ったものですな。あの者には。
いっそ黒き翼を解体してはどうです?」

「私もそうしたいのだが、あの部隊は女皇から特権が与えられている。
我々ではどうしようもないのだよ。」

「だから今は一時、解散ですか。」

「ああ、そうだ。
それより、今は今後の動きだ。
実際にあの男が言った場所以外は当てが無いのは確かだ。
第二方面の調査と同時に開放に向かっても悪くないかも知れないな。
それに丁度アレも完成する。」

「例の新造艦ですか?」

「ああ、それにいい人材もいる。
上手くいけば先の戦いで傷を負ったルフトにとって代わるチャンスかもしれないからな。」

ボストンは思わず笑みを浮かべた。




その後の会議にて、第二方面への開放作戦は実行されることとなった。
部隊はセーカー・ボストンの率いる第一方面軍を主軸とした。
その中でも第11艦隊司令ファリナ・I・リフィールを総司令とした。
そして、同16艦隊を加え、近衛隊第6艦隊。第二方面軍の残存兵力を集結した部隊で編成された。
目的はCHAOSによって制圧された宙域の開放と敵主力部隊調査。
そして作戦の結構予定日は一週間後に決まったのであった。





天使の憩いの場でもあるティーラウンジにて大声が響き渡った。
会議の内容は天使達にも告げられたのである。

「ええ〜!!黒き翼が解散!?」

叫び声を上げていたのはシナモだった。

「あくまで噂よ、噂。」

冷静に答えるシーラ。

「そしたら私達はどうなる?」


「同じく解散…」

紅茶をすすりながら冷静に答えるリディア。

「リディアさん、シャレになりませんよ。それ〜」

シナモは半分青ざめた顔で答える。



騒いでいる天使達に一人の女性将官が近づいてくる。

「隣、よろしいかしら?」

「ええ、どうぞ。」

シーラは女性仕官を隣に席に座らせる。
女性将官はブラックコーヒーを注文する。
そこでシーラは、改めた彼女の服装を見回した。

「まさかリフィール准将?」

「あら、わかったかしら?」

「はい。女性の将官は少ないですし、その襟の勲章で。」

「だれだ?そのリフィール准将って?」

小声でシーラに尋ねるレモネス。

「知らないの?トランスバールでも有数の門閥貴族リフィール家の当主よ。
前の大戦では指揮官以外にもパイロットとしてもかなりの名を轟かせた人よ。
なんでも戦闘機一機で戦艦を5隻落としたとか…」
「紋章機以外でそんなにも!?」
「ええ、噂だけど本当は紋章機の適正もあるのらしいとか…」

「でも、こんなに若いなんて…」

「ふふ。驚きかしら?
あと、私の事はファリナでいいわ。
それと紋章機の適正の話は本当よ。」

「ならどうして紋章機に乗らないのですか?」

「そうね。私の紋章機が無いこと。」

「それだけ?」

リディアの鋭い一言にファリナは少しため息を付き、口を開く。

「天使の中にも切れ者がいるみたいね。
私が紋章機に乗らないのは他に理由があるわ。
昔にナノマシンの暴走の様子を見てからね。
その頃から正直ロストテクノロジーは少しね…」

ファリナは再びため息を付くとコーヒーを一口飲み込んだ。

「でも、今はそういうことを言っている場合でもないみたいね。」

「シヴァ陛下とシャトヤーン様が誘拐されたってことかい?」

「ええ、あなた達は今、フリーだって言う話じゃない?
良かったら私の艦に乗って戦って欲しいのだけど。
いいかしら?」

「ファリナさんって艦長さんなのですか?」

「近いけれど違うわ。
私の旗艦ということよ。」

「ファリナさんにはまだ旗艦は無かったはずじゃなかったですか?」

「ええ、そうよ。でも今回の作戦の為に新造艦を頂いたわ。」

「新造艦!!行く〜」

一番手に声を上げたのはシナモであった。

「本当に新しいものとなるとシナモのヤツ目の色を変えるよ。全く。
しかし、新造艦。確かに興味をそそられる。」

「いつ頃完成なんですか?」

「もうすぐの話よ。もう1週間はかからないと思うわ。」

「丁度暇だし。いいわね。」

「私もいいのかな?ランキング最下位だけど。」

「ええ、今の新造艦は紋章機を搭載出来るみたいだから、歓迎よ。」

天使達は新造艦に乗れるということで喜びの声を上げる。

「なら、日が決まったらまた連絡するわね。」

ファリナは席から立ち上がり、レジに向う。
そして天使達の分も支払い出て行った。
それからの天使達の話題は新造艦の話で持ちきりだった。











トランスバール人工衛星セクター6大型格納庫
そこにファリナの姿があった。
シャトルから降りた彼女の目の前には一人の軍人がいた。

「よくお越しになりました。」
「どう?アレの状態は?」
「それではこちらに…」

ファリナは案内役の軍人に連れられ奥の格納庫へ向かう。
そこへ行くためには厳重のセキリティが施されていた。
最後の扉を開くと巨大な空間にでた。

「これが新造艦…」

続けて軍人は説明を始める。

「はい、新造戦艦建造計画の試作艦です。
当然この艦はエルシオール同様、紋章機を搭載することを前提の設計思想です。
その搭載数は6機から8機へと増やしている他、武装を特に強化しております。
さらにエルシオールの後継艦ともあり、クロノブレイクキャノンが搭載を可能としています。
しかしながら、白き月があの状態ですので、その点はしばらく無理かと思われます。
あと、設計者の思想から娯楽施設は減っているのが欠点かと。」

ファリナはその新造艦を一通り見渡すと案内役の軍人に声をかける。

「いい艦ね。この艦の名前は?」

「フォルティオールと申します。」

「風のように心地いい名前ね。気に入ったわ。
いつ頃出航出来そうかしら?」

「そうですね。最終調整を含めてあと5日という所です。」

「丁度いいわね。こちらの艦隊の調整も含めていい時間よ。
出航の日を楽しみにさせてもらうわね。」

ファリナは穏やかな笑みを浮かべ、そう言葉を返した。





謹慎室
そこにディアボロスの姿があった。
そしてもう一人…

「まったく、お前さんというヤツは。相変わらずじゃな。」

「うるさい。お前こそ、ここに何しに来た。
なあ、B.K.。」

「久しぶりの再開じゃと言うのに。
本当に変わっておらんな。
変わったと言えば背丈くらいかのう。」

「からかいに来たのか?」

「冗談じゃよ。
そんなことよりあの二人はどうじゃ。」

「想像以上に働いているさ。
特に小さい嬢ちゃんの方がな。」

「特に変なことは無かったか?」

「今の所はな…」

「つまり、何かあるって訳か?」

「…まあ、そういうところじゃ。今は話せないがな。」

「また、それかよ。」

「そういうお前さんじゃて、わざと謹慎するような事やりおって。」

「分かっていたのか?」

「当たり前じゃ。このわしの目を誤魔化せんぞ。」

「…妙なんだ。
あまりにCHAOSの手際が良すぎる。
突然の襲来。
スカイパレスの襲撃。
白き月への攻撃。
シヴァ女皇と聖母シャトヤーンの誘拐。
特に一番最後のは、非公式の行事で出て行ったことだ。
軍でも極一部の人間しか知らないことだ。」

「つまり、お前さんは軍の内部にCHAOSへ情報を流した人物がいるというのか?」

「ああ、ほぼ間違いないな。」

「だが、お前さんはここから出られんぞ?どうする気じゃ?」

「ああ、すでに手は打ってある。
餅は餅屋だぜ。じじい。」

「ならば、結果を楽しみさせてもらうかのう。」






5日後、セクター6にシーラ、レモネス、シナモ、ティファ、リディアが集まっていた。

「あれが噂の新造艦なんだね〜」

シナモは興奮しながらカメラのシャッターを押し続ける。

「ちょうど黒き翼が解散して、いいのか悪いのか。」

レモネスは少し呆れたような顔をしていたが、新しい艦に乗れることを楽しみにしている様子で言う。

「エルシオールの後継艦だけあって、さすがに大きいわね。」

「皆、また頑張ろうね〜」

勢いつく中でリディアは…。

「あっ、今回、私はパス。」

「「ええ〜!!」」

突然のリディアの返答に他のメンバーは驚愕する。

「どうして?リディアさん頼りにしていたのに〜。」

実際に今のメンバーで一番成績の優秀だったのはリディアであった。
他の天使達もリディアを少し恐い存在と思いつつも、頼りにしていたことには間違いなかった。

「そうね〜なんか今回の司令と馬が合わないのよね〜。」

「そんな理由でいいのかよ。」

「なら、今日は何をしに?」

「う〜ん、ただの見送り?…かも?」


このとき、他の天使はやはり「リディアはよく分からない」と痛感するのであった。
なんというか、よく分からない所がリディアらしいということなのだろう。

「あっ、噂をすれば現れた。」

ちょうど良いタイミングで現れるファリナ。

「出航まであと2時間を切ったわ。あなた達も中に入りなさい。」

「あの。リディアさんは。」

「ええ、聞いているわ。同行せずに黒き翼の手伝いをするらしいわね。」

「はい。」

「貴女も物好きね。こちらとしては少し残念よ。」

「その代わりに補充要員が入ったはずよ。」

「えっ、そうなの?一体誰だろう?」

「ええ、先に入っているわ。今は自室で準備していると思うわ。」

「よ〜し!いっくぞ〜」
「あ〜待ちなよ〜」

いきなり走り出すティファと追いかけるシナモ。

「このタイミングで誰か空いていたか?」
「さぁ?また新しい人でも見つかったのかしら?」

レモネスとシーラは互いに顔を合わせる。
その時ゴンっと何がぶつかる音が聞こえた。

「いった〜い。」
「自動ドアにぶつかるなんて珍しいの。」
「う〜だから機械はダメなのよ〜」
「そういう問題なのかしら?」

4人はそう騒ぎつつもフォルティオールの中へと入っていった。



フォルティオール・ブリッジ

「状況はどう?トライフル艦長?」

「はい。フォルティオール全ての起動シーケンスの確認は完了しました。
いつでも出航可能です。」

「そう、わかったわ。他の艦隊の様子は?」

次はオペレーターであるルポーネに話しかける。

「現在、クララト星系にて集結しつつあります。
6時間後にはこの艦も含め、予定の数は揃うかと。」

「わかったわ。それなら私達も急がないといけないわね。
司令が遅いとうるさいのも居るみたいだし。」

「了解しました。」

「フォルティオール。発進せよ。」

格納庫の巨大なハッチが次々と開いていく。

そして、次々と動きだすクロノストリング。
創世の火が次々と送り込まれ、エンジンはその光を増す。
そしてフォルティオールは宇宙へ飛び立った。
光の尾をなびかせながら…




次回予告
リディアです。
次回から出番が無くなっちゃたわね。
まあ、いいけど。
後は、新入りさんにでもがんばってもらおうかしら。
それより予告、予告。
フォルティオールに乗って開放戦になることになったファリナ司令と天使達。
順調に作戦は進んでいくのだけど突然の新型の戦闘機の襲撃。
その時にティファちゃんの紋章機が大ダメージ。
フォルティオールも一時撤退。
だけどすぐに追いつかれてみんなピンチ。
さて、どうなるのかしらね…
次回 太陽と月光 第七話 太『陽』の巫女
では、皆さんまたいつの日にか、会いましょう〜ふふ♪



ティファです!
次の話は一気に2週間過ぎちゃうから、今のうちにフォルティオールの乗員メンバーの紹介しちゃいます〜。
まずはフォルティオール艦長のリー・トライフル大佐。
硬い所が多いけど、実は面倒見のいい艦長です。
オペレーターのルポーネ・クーベルさん。
仕事の時は凄い真面目で尊敬しちゃいます。
でもそれ以外は…。
言ったら怒られてしまいます〜
操舵士のトランシュ・シュニッテン
無口の操舵士さんです。
しゃべっている所見たことありません。
本当にしゃべれるのかな? 実はメカなのかも!!
残りのブリッジメンバー省略!
「ヒドイ〜」
えっと今の声は聞かなかった事にして、続いて整備メンバーです。
雷じいさんことレイウォンとマイジャオくんです〜
続きて医務室に常駐、軍医のババリアさんです。
愛称はババさんよ。
84歳の女医さん。腕は凄くいいのよ。
よく雷じいさんとケンカしているみたい。
まあある意味似たもの同士よね。
あっファリナさんに副官が居たんだっけ。
確か名前はレイジ・ムクロジ。
う〜ん。正直名前負けしている副官さんです。
よくファリナさんに怒られているみたい。
皆、個性的で面白い艦ですよ〜
では、今回はこの当りで。
失礼しました〜。

続く
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