第一話「変わりゆく月」
−白き月・謁見の間−
シャトヤーン「今、何とおっしゃいました?」
???「白き月の自動生産プラントを使用したいのです。」
シヴァ「バカな!兵器はもう必要ないのだぞ!クーデターでも引き起こすつもりか!」
シャトヤーン「待ちなさい皇子。彼女の言い分も最後まで聞かなくては」
シヴァ「しかし…」
シャトヤーン「いったい何を作り、何の為に使うのか聞かせてもらいましょう」
???「今現在、皇国復興のためエンジェル隊は、各地に派遣されており一時解散の状態です。
そのため「白き月」の守りが手薄になることを考え、
今まで、保留にしてきた紋章機をの「適正者」を集めて
もう一つのエンジェル隊を作ります。
その為に、紋章機と旗艦が必要なのです。」
シヴァ「もう一つのエンジェル隊を作る?」
???「はい。それともう一つには、皇国の警備の強化、
ムーン・エンジェル隊の強化が上げられます」
シャトヤーン「しかし、本当に必要なのですか?今のエンジェル隊では十分ではないとでも?」
???「残念ながら、そう言わざるえません。」
シャトヤーン「…そういう事なら仕方ないですわね。」
シヴァ「シャトヤーン様!よろしいのですか!?」
シャトヤーン「…ただし、条件があります。何らかの問題が発生した時は
計画、紋章機、旗艦の凍結、あなたには皇国外への永久追放を命じます。」
???「…分かりました。」
シャトヤーン(おそらく、何かが起こるでしょうね。それがプラスになるか、マイナスになるか…
しばらく監視をつけたほうが良さそうですね。)
第二話「月に導かれて…」
−トランスバール本星側、シャトルステーション−
???「今日から白き月に配属か…」
ドリアン・シーが時刻表を見ながらつぶやく。
少し高めの身長、アクアブルーの髪、見ためは穏やかそうだが、性格は寿司屋の親方ような性格だ。
と、言っても、花も恥らう18歳。悩み事が無い訳が無い。
シー「まさか、軍の健康診断で引っかかったと思ったら、紋章機の適正ありってなるなんてね…」
ベル音「ピーンポーンパーンポーン」
アナウンス「まもなく、1番ドックより、白き月行きが発射いたします。ご乗船の方はお急ぎください」
シー「あ。早く行こ。」
−シャトル内−
???「あのー。横いいかな?」
シーが振り向くと同じ軍服を着た少女が目線に入ってきた。
長いオレンジのポニーテールが踊り、無邪気な笑顔で笑っていた。
ベリィ・ジェラード。オレンジの長いポニーテールで身長はかなり低め。
幼そうに見えるが17歳。シーの1つ下である。そのギャップと笑顔が周囲の人々の視線を集める。
ジェラード「あなたも、紋章機に乗るんだよね?アタシ、ベリィ・ジェラート。アナタは?」
シー「ドリアン・シー。18歳よ。」
ジェラード「アタシは17歳。あなたより一つ下ね。」
シー(うそ!?12歳ぐらいだと思ったのに。まさか、アタシより一つ下!?)
周りの乗客「おい、あの元アイドルのジェラードだよ。」
「ああ、まさか軍に入るためにやめてただなんて。信じらんねぇ。」
シー(アイドルなの!?アタシこーゆー系にはまったくうといのよねー。)
ジェラード「別に、アイドルよりこっちの方が面白そうだったからねー」
シー「でも、せっかくやってきた事無駄にならない?」
ジェラード「別にアイドル辞めても、歌えるし〜☆踊れるし〜☆」
シー(そんなもんなの!?)
その時、窓の外に一筋の光が見えた。まるで、天使の羽が銀河を羽ばたくような…
シー(綺麗…)
ジェラード「ねえ。あれって紋章機じゃない?」
シー「え?あ?本当に?」
確かに彼女たちが見たのは、GA−006「シャープシューター」である。
シー「アタシ達って何のためにあれに乗るのかな?」
ジェラード「皇国の警備とロストテクノロジーの調査でしょ?」
シー「皇国の警備って何?誰かと戦うの?また、戦争するの?」
ジェラード「そ、そんな事アタシに言われてもわかんないよぅ。もしかして、シー、白き月に行くのが嫌なの?」
シー「そんなんじゃないわよ!!!」
シーは大声で叫んだ。ジェラートどころか周りの乗客まで驚いていた。
シー(あ!しっまた。また、やっちゃった…)
ジェラード「…ごめん…なさい」
ジェラートが大粒の涙もこぼしながら言った。
ジェラード「…アタシ…初めて一人ぼっちでとても心細くて、やっとシーさんと会えて、
仲良くしようと思って…それで明るく振る舞ったんだけど…怒らせちゃったよぅ」
シー「アタシこそゴメン。ちょっと思い出したくない事、思い出しちゃったから…」
ジェラード「きっと楽しいことあるよね…嫌なことも忘れちゃうくらいのね…」
シー(そうだよね…いつまでも過去に囚われてちゃダメよね…信じてみたくなったよ。父さん…)
第三話「視線者」
−白き月、自動工場プラント制御ルーム−
???「…コソコソしてないで、出てきたらどうです?」
???(チッ。あいつは後ろにも目が付いているのかい?)
???「監視カメラで八方から丸見えですよ。シュトーレン中尉。」
フォルテを囲む無数の赤い光点が浮かぶ中フォルテが入っていく
フォルテ「だろうね。」
???「わざわざここに来たということは、私に話があるんでしょう?」
フォルテ「ああ。アンタの真意を聞きに来たんだ。いったい、何がしたいんだい?」
???「アナタにはウソを言っても通じなさそうね」
フォルテ「ああ。ヘンな事考えてると蜂の巣にするよ。」
???「今のあなたたちに白き月は任せられないわ。」
フォルテ「心外だねぇ。アタシ達じゃ役不足って言いたいのかい?」
???「アナタはこの平和がいつまでも続くと思っているの?」
フォルテ「いつかは終わるだろうね。」
???「なら、理解できるでしょう?」
フォルテ「でも、実際は違うんだろう?」
???「姉のような失敗はしないわ。」
フォルテ「復讐からは何も生まれないんだよ。」
???「たしかにアナタ達は姉を殺したわ。だからこそ私は姉のような失敗は出来ないの。」
フォルテ「それでも、エンジェル隊に対抗するものを作ってるんだろ?」
???「何とでも言えばいいわ。」
通信「ブリストル大尉。2名とも到着しました。至急お戻りください。」
???「わかったわ」
フォルテ「まあ、頑張ってくれよ。アナ・ブリストル大尉どの。」
アナ「私たち「ムーン・グランサー隊」はアナタ達には負けないわ。」
部屋を出て行くアナ
フォルテ(「ムーン・グランサー隊」…悪を射る「視線者」か・・・)
第四話「集結!ムーン・グランサー隊」
−白き月側、シャトルステーション−
シー「確か、迎えの人が来てるはずなんだけど…」
ジェラード「目印、何だっけ?」
シー「「刀」って書いてある。」
ジェラード「刀?」
シー「どうしろって言うのよ…」
ジェラード「あ。あれじゃない?」
2人の前に、腰に刀を下げた黒髪の女性が現れた。
???「ドリアン・シー少尉とベリィー・ジェラード少尉だな。」
シー「あ。はい。そうです。」
ようか「私の名前は、紫劉ようかだ。階級は中尉。グランサー隊のリーダーだ。」
ジェラード「よ、宜しくお願いします。」
ようか「早速だが、ついて来てくれ。色々、やる事があるのでな。」
3人は基地に向かう。
シーとジェラードは途中で、配属辞令、入隊届の確認、身体検査を受け、ブリーフィングルームに向かった。
−ブリーフィングルーム−
ようか「今日から新しく配属される2人だ。よろしく頼む。」
シー「ドリアン・シー少尉です。皆さん宜しくお願いします。」
ジェラード「ベリィー・ジェラード少尉です。よろしくお願いしま〜す。」
今度は既に配属されているメンバーの紹介が始まった。
シャルロット「シャルロット・R(リュス)・ルリジューズ中尉よ。戦闘では指揮を任されてるわ。」
結構長めの黒い髪。魔道士みたいな制服でちょっとアヤシそうだが…
プラリネ「私はプラリネ・アルマード。階級は少尉。ちなみにシャルロットは「ルリルリ」って呼んでね。」
銀色のセミロングヘアーで赤色の目をしている。見たまんまは科学者っぽい雰囲気だ。
シャルロット「それはやめてって言ってるじゃない。」
プラリネ「もー。照れちゃってぇー」
ジェラード「あ!じゃあルリさんって呼んでいいですか?」
プラリネ「オッケー。オッケー。良かったわね、ルリル…」
プラリネが言い終わらないうちに、黒い影がプラリネを包んでどっかに行ってしまった。
シャルロット「(ニッコリ笑いながら)呼び方はそれでかまわないわ。」
シー「は!!はいぃ!」
マドレーヌ「次はボクだねっ☆ボクはマドレーヌ・グラッセだよ。、12歳で一番ちっちゃいから
まだ紋章機には乗れないけど、みんなのお手伝いとかするよ。よろしくね☆」
髪はピンク色で腰ぐらいまである。ホントちっちゃくてカワイイ。ホワホワしててクラクラしてきそうだ
ジェラード「カ、カワイイ〜〜〜〜〜♪。」
元アイドルで今でも十分可愛いジェラートが言うぐらいカワイイのである。
マドレーヌ「あ。あなた、元アイドルの…」
ジェラード「うん!でも、ホント羨ましいぐらいカワイイなぁ」
マドレーヌ「そんなにまじまじ見られたら。恥ずかしいよぅ…」
ジェラード「アタシ達、良いお友達になれそうね」
マドレーヌ「あ、ボク、歌とか踊りとか教えてほしい!」
ジェラード「いいよ〜アタシもそのカワイさの秘訣教えてもらいたいし。」
マドレーヌ「ホント。お姉ちゃんにそっくりだ…」
ジェラード「じゃあ、お姉ちゃんって呼んでいいよ。」
マドレーヌ「ホントに!?じゃあボクはマドちゃんって呼んでね☆」
ジェラード「うん☆」
マドレーヌ「…ジェラートお姉ちゃん。」
ジェラード「…マドちゃん。」
もうすっかり2人だけの世界である。
シャルロット(へぇー。マドレーヌのホントの笑顔やっと見れたわね。指令も良い人見つけてくるじゃない。)
そんな中、プラリネが息を切らしながら戻ってきた。
プラリネ「ぜーぜー…。酷いじゃない!シャトル便のコンテナに閉じ込めるなんて!」
シャルロット「良い運動になったでしょ?」
プラリネ「脱出するのがあと5秒遅かったら、レナ星系まで飛ばされてたわよ!」
シャルロット「ところでコンテナは大丈夫でしょうね?」
プラリネ「馬鹿にしないで。…しっかりと潰してきたわよ!」
シャルロット「いいかげんに、それの扱い方考えなさいよ…」
プラリネの右手首についているブレスレットが水のように形を変える
シー「あ。それ何ですか?」
プラリネ「よくぞ聞いてくれました!これはね…」
シャルロット「「リキッドメタル」って言ってね、使用者の意思で自在に変形できる液体金属よ。」
プラリネ「………」
プラリネがなんか言いたそうな顔でシャルロットを見ている。一方シャルロットは鼻で「へっ…」と笑っている。
プラリネ「…アンタとは、いずれ決着をつけなきゃいけないわね…」
シャルロット「いずれと言わず、今でもいいわよ♪」
プラリネのリキッドメタルが2本のダガーに変わり、一方、シャルロットは何処から出したのか両手に鉄爪を付けている。
2人の間にただならぬ空気がただよい……次の瞬間………2人の間に激しい火花が散るっ!
プラリネ「とりゃぁぁぁぁぁぁ!」
シャルロット「何の!これしき!」
その火花は衰えを見せず激しくなる一方である。
しかし………次の瞬間、銀色の疾風が火花に飛び込む!
そして、刀と槍で激しく散っていた火花をかき消した。
ようか「その辺にしておけ。2人とも。」
プラリネ「止めないでください、隊長!」
シャルロット「あら、大人気ないわよ。プラリネ。」
プラリネ「ぁ、あんたねー」
シー「だ、大丈夫かなぁ…」
シーは激しく思った。