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〜プロローグ〜

私がエンジェル隊に入隊してから一年の時が過ぎました。

あの激しい戦いでの厳しい惨状は今となっては昔の話のように元どうりになっています。

あの戦いで私は初めてエンジェル隊としての戦闘をした。

憧れのタクトさんの指揮下で。

あの戦いで私はタクトさんへの憧れの気持ちが恋という気持ちに変わるのを感じた。

タクトさんも私を意識し心をつなげてくれた。

今はエンジェル隊の皆さんと色んな所を回ってロストテクノロジーの探索にあたっている。

そんなある日のことだった、タクトさんと公園でひなたぼっこをしていたときにタクトさんが私の作ったお菓子を食べてみたいといいだしたのだ。

私はあまり料理が上手というわけではなかったから断ったのですが、タクトさんはなぜか、そういう所は一歩も引かず粘ってきた。

まぁ、私はそんなタクトさんに惚れてしまったのだからしょうがないとお菓子を作ることを約束した・・・・・。


Snow The sweet'sお菓子



12/17

私は公園で一人タクトさんに作るお菓子のことを考えていた。

(タクトさんはどういうお菓子が好きなんだろう・・・・やっぱりケーキでしょうか・・・?)

考え事をしながら公園を行ったりきたりしていたときだった。

シュー

「あらちとせさん、何をしてるんですの?」

扉を入ってすぐの所にミント先輩が立っている。

私は駆け足でミント先輩に駆け寄った。

「こんにちは、ミント先輩。」

「ええ、こんにちは。で?何を悩んでるんですの?」

ミント先輩は私の顔を覗き込んだ。

「あ・・」

私が喋ろうとした時ミント先輩がいきなり私の腕を掴んで歩き出した。

「どうしたんですか!?」

「相談事になるようなのでどこか座れる場所に移動しましょう。」

そういうとミント先輩は公園の真ん中にある木の根元に座り込んだ。

私もミント先輩に習って座った。

「あ、どうぞ。」

ミント先輩がこちらを振り向いて言った。

「はい・・・・・・・・・。」

私が口ごもっていると。

「そうですか、タクトさんにお菓子を・・・・。」

いきなりミント先輩が私の言おうとしたことを言い当てた。

「どうしてそれを!?私、まだ何も言ってませんよね!?」

「あ、いえ。ちとせさん、テレパシーですよテレパシー。」

ミント先輩が耳?をピコピコさせながら微笑んでいる。

「すみません、勝手に心をよんでしまって。」

ミント先輩の耳が一気に下がって行く。

「いえ、大丈夫ですのでおきになさらずに!」

私は両手と首をフルフル振って大丈夫ということを表現した。

ミント先輩はそんな私を見て笑った。

なぜか私もつられて笑ってしまった。

「それよりもタクトさんったら!ちとせさんをこんなにこまらすなんて!」

ミント先輩の耳が上に向かって立ち上がった。

「いえ、私大丈夫ですから。それに・・・私のお菓子を楽しみにしてくれるタクトさんの顔を見るとどうも弱いんですv」

私が少し口ごもりながら下を向いた。

「まぁ、いいのろけ具合ですわねv」

ミント先輩が微笑んでくれた。

「それよりちとせさんはお菓子を作れるんですの?」

ミント先輩が痛いところをついてきた。

「あ・・それが・・・・。」

「そう、得意じゃないんですのね。」

「はい・・それにどんなお菓子にするかもまだ決まってないんです。」

「ちとせさんはどんなお菓子が好きなんですの?」

ミント先輩がタクトさんの話題から私の話題に切り替えた。

「私はケーキが好きです。他にはお饅頭とか大福とかが好きです。ですがケーキだとタクトさんはいつもミルフィー先輩のを食べてますから・・・・。」

「だいふく・・・・大福って何ですの?」

ミント先輩はすごく不安そうな顔で私を覗いてくる。

「大福というのはお餅であんこを包み込んだ食べ物です。甘くておいしいんですよv」

私は自分のほっぺたを押さえた。

「まぁvそれはぜひ食べてみたいですわねv」

ミント先輩の目が輝いている。

「ええ、ぜひv」

私も大福は好きなのでエンジェル隊の皆さんと食べたくなった。

「それで、ちとせさんはタクトさんの好きなお菓子はどんなものかを考えてるんですのね。」

「はい・・・・それが分かればすぐにでも料理にかかれるのですが・・・・。」

私は「う〜」とうなりながら空を眺めていた。

「さてと。」

いきなりミント先輩が立ち上がった。

「どうしたんですか先輩?」

「部屋に戻ろうかと思いましてね。」

ミント先輩はお尻を二度三度はたいた。

「それでは、がんばってくださいまし。」

ミント先輩はゆっくり扉に向かって歩いて行った。

その途中いきなり振り向いて。

「答えは案外すぐ近くにあるかもしれませんわよ。」

そういい残してミント先輩は扉の向こうにと消えて行った。

(答えは・・・・すぐ近くにあるかもしれない・・・・・か。)

12/18

私は昨日のミント先輩の言葉の意味を考えながら艦内を歩き続けた。

突き当たりについた頃。

「あら?どうしたのちとせ?」

突然誰かに声をかけられた。

振り返るとそこには蘭花先輩が立っていた。

「あ、蘭花先輩。こんにちは。」

「はいはい、こんにちは。で?何を考え込みながら歩いてるの?」

蘭花先輩は私の顔を覗き込んだ。

「それが、昨日ミント先輩に・・・・・。」

「ミントがどうかしたの?あ!」

蘭花先輩がいきなり何かを思いついたように私の手を握った。

「ふぇ!?」

気付いたときには走っていた。

私の黒い髪が宙を漂う。

私は引っ張られるように蘭花先輩の部屋の前まで連れて行かれた。

「どうして、蘭花先輩の部屋に?」

「いいから、相談事なら部屋で聞くから。それにいいものあげる。」

そういうと蘭花先輩は部屋に招きいれた。

ガシャー    ピシッ

「適当にかけて頂戴。」

「は・・はい。」

私は真ん中に位置している机の椅子に座った。

(蘭花先輩の部屋ってなんだか占い系のものが多いなぁ〜。)

私がきょろきょろしていると蘭花先輩が何かを持って歩いてきた。

「どうしたのちとせ?なにか珍しいものでも見つけた?」

「あ、いえ!」

「そう?」

蘭花先輩が首をかしげながらも納得したように机の上にもっていたものを置いた。

「なんですか?これ?」

私は机の上におかれた紫色の小瓶を指差した。

「ん〜、これはね〜悩み事がなんでも解消しちゃう不思議なお水〜v」

蘭花先輩はニコニコしながら瓶の蓋を開けた。

瓶の中には綺麗なサファイア色の水が入っていた。

「これはね、ブルースカイっていう占い水なの。自分で作れるから作ってみなさい。」

蘭花先輩はそういうと立ち上がって棚から小瓶を一個手渡してくれた。

「はい、こっちにおいで〜。」

私は蘭花先輩のもとに近づいた。

「はい、ここに8種類の元があるから好きなものを選んで。」

机に丸い種みたいなものが並んだ。

アルテ(恋愛)ビウル(健康)チェル(運)デウル(悩み)エイス(睡眠)フォルエ(集中)
ギャエ(自身)ホイス(真実)

私は8つの中からアルテとデウル、ギャエを選んだ。

「なるほど、乙女ね〜v」

蘭花先輩は微笑みながら色々と準備し始めた。

「まず、今選んだアルテ、デウル、ギャエを粉々につぶして。」

じゃりじゃりじゃりじゃり・・・・・・・。

数分かかって私は三つの種を粉々にした。

「次はこの秘密の粉!スカイとこのエキス!ブルーを混ぜて。」

パラパラパラパラ。

ピチャピチャ。

そして、混ぜる。

ぐるぐるぐるぐる。

「そうそう、それじゃーこの瓶の中に入れて〜水を入れて〜少し振って出来上がり〜v」

私は言われたとうりにすべてをこなした。

「で・・出来ました!!」

「うん♪初めてなのに上手じゃないv」

蘭花先輩は私のブルースカイを見ながらうれしそうにしている。

「はい、あとはこれを飲めばOK♪」

「はい!・・・・・って・・・え?飲むんですか・・・?」

「ええ、そうよ。」

「えーーーーーーーーーーーーーー!」

わたしは余りのことで瓶を落としてしまった。

「あ!」

「あ!バカ!」

蘭花先輩は間一髪で瓶を掴んだ。

私は蘭花先輩から瓶を手渡された。

「もーバカなんだから。ちゃんともってなさいよ〜。」

「はい・・・・って、これを本当に飲むんですか?」

私は瓶を顔の横に並べた。

「そのとうり、ただし三時間置いてからね♪」

蘭花先輩が人差し指を立てて微笑んだ。

「はい・・三時間ですね・・・・ってやっぱり飲むんですね。」

「そのとうり、それを飲んだらミントの言ったこともタクトの問題も簡単に解けちゃうから頑張ってねv」

(蘭花先輩のこういう楽しそうな顔って無邪気な子供っぽい・・。)

「はい、ありがとうございました。」

シュー

「また何か悩み事があったら言ってね。」

「はい。」

私は蘭花先輩に一礼して自分の部屋に戻った。

〜自室〜

シュン!

ストン!

(やっぱり弓を撃っている時が一番落ち着きますね・・・。)

ピピッ

(ん?誰だろう?)

ピッ

『ちとせさん?』

「ミント先輩ですか、どうかしたんですか?」

私は弓を置き畳の上に座った。

『はい、わたくしの言ったこと分かっていただけましたかと思いまして。』

「その、まだです。」

ミント先輩が私に言った言葉「答えは案外すぐ近くにある」

『そうですか、じゃあ頑張ってくださいませ。』

「はい、分かりました・・・・。」

『そうですわ、六日後にパーティをいたしますので。』

「はい、承知しました。」

『それでは、おやすみなさいませ。』

通信が切れた。

六日後と言えば"Snow the day"雪の日ですね・・・。

もしくは"Holy night"聖なる夜。

"Divine snow is night.

some people is love."

神聖な雪の夜、多くの人々の愛。

恋人が心を通い合わすとても美しい夜の事。

そんな日にパーティが行われる・・・・・・・・もしかして!?

「ミント先輩はその日にタクトさんへのお菓子を作って渡せと!?」

私はあたふたしながらクリスタルに手をかけようとした。

が、途中でやめた。

(まさか、そんなはずないですよ・・・・・・・そんな大事な日に・・・・・・・でも・・。)

「あ・・・・ブルースカイを飲まなくては・・・・いけませんね・・・・・・・(汗」

12/19

昨日蘭花先輩から頂いたブルースカイの味は以外や以外、少し甘めのお水のようでとてもおいしかった。

ただ、ブルースカイをのんで悩みが晴れたのかというとまだです。

さて、今私がどこにいるかといいますと。

「どうですか、植物達は何かお役に立ちましたか?」

「あ、いえ・・・まだです。あ、クロミエさんはもう植物達にお水はあげたのですか?」

そう、クジラルームで植物達を見て只今思案中です。

「ええ、でもまだ宇宙ラフレシアンにはまだあげてませんが・・・・・・あの花は・・・。」

クロミエさんが少し振り向き何かを見つめている。

「そうなんですか?あの、よければ私が。」

「いえ、いいんですよちとせさん。宇宙ラフレシアンは僕以外から水を受け入れませんから。」

そういうとクロミエさんは部屋の入り口においておいた鍋を掴んで奥に歩いて行った。

(宇宙ラフレシアンですか・・・・・・・。)

私は少ししてから温室をでた。

キュオーーーーーーー。

ザパーン

「今日も元気ですね、宇宙クジラは。」

「そうですね・・・・・・・・。」

私はいきなり声が聞こえたので一歩飛びのいた。

「・・・・・今日はちとせさんが来ているのでいつもよりうれしいみたいです。」

「ヴァニラ先輩でしたか・・・・・そうですか、宇宙クジラさんが・・・・v」

ビーーービーーーーーー

いきなりあわただしくブザーが鳴り響いた。

「な!何事です!?」

「第二次戦闘配備のブザーですね。」

ピピッ

クリスタルがなった。

『ちとせ!いますぐ格納庫に向かってくれ!』

クリスタルからタクトさんの声が聞こえた。

「ど・・どうしたんですか!?」

『厄介なことになった・・・・・反乱軍だ!』

「ちとせさん、格納庫に向かいましょう。」

ヴァニラ先輩が先を走っていった。

『じゃあ、頼んだよちとせ。』

「はい!」

私も急いで格納庫に向かった。

〜格納庫〜

私はシャープシューターに乗り込んだ。

格納庫から紋章機が宇宙空間に出された。

シュ・・ピピピピピピピ

すべてのプログラムを起動させていく。

『エンジェル隊!出撃!』

「「「「「「了解!」」」」」」

六機の紋章機が宇宙空間を翔けた。

一番機動性のいいカンフーファイターが敵の固まりを右から攻めていく。

『アンカークローーーー!!』

ドーーーーーン!!

敵の機体が爆発していく。

『フライヤーーーーダンス!!』

広範囲で多くの敵を破壊していく。

ズズズズズズズズ!!

暗闇から巨大な戦艦が2隻現れた。

ラッキースターとハッピートリガーがたくみに敵の間を抜けて戦艦に向かっていく。

ハーベスターが敵に向かって翔けて行った。

『リペアウェーブ』

紋章機が全機回復が行われた。

『ストライクバーーースト!!』

ハッピートリガーが実体弾を前門開放して放った。

ズドドドドドドドド!!

『ハイパーーーーキャノン!』

ラッキースターが高出力のビームを直線に放った。

ズゴオオオオオオオオオン!

二隻の戦艦が爆発した。

ピピッ

シャープシューターに通信が入った。

『ちとせ!いまエルシオールの後方に戦艦が一隻出現した!頼む!』

タクトさんからの通信はすごく切羽詰っていた。

「は・・はい!任せてください!!」

私は旋廻してエルシオールに向かって翔けた。

ドキュン!ドキュン!

私は遠距離から戦艦向かって撃った。

キュン!キュン!

私の撃った弾は途中で何かに打ち落とされた。

ブオオオオオオ!

敵の戦艦の前に紅い機体が飛んでいる。

ピピッ

『その遠距離からの狙撃能力、素晴らしい。』

キザな声が通信を入れてきた。

「あ!あなたは誰ですか!いきなり通信を入れるなんて!」

『ふふ、はじめまして。私の名前はラウト・F・オーガです。』

通信に男性の顔が現れた。

「それで、何が用件なんですか!」

『烏丸ちとせ嬢・・・・こっちに来ないかい?』

私はいきなりのことでどうしていいのかわからずに戸惑っていると。

ピピッ

『おいおい、どういうつもりか知らないけど俺のちとせをどうするつもりかな?』

いきなりタクトさんの通信が入った。

「た・・タクトさん!?」

『へー君があの英雄タクト・マイヤーズか・・・・ダサいね。』

『どうも、英雄のタクト・マイヤーズです。あいにく容姿に自身は無いからね。』

私を置いて二人が話をしはじめた。

『君には烏丸ちとせ嬢は似合わない。』

『なら、あんたなら似合うというのかな?』

『ああ、少なくとも君よりもね。だから烏丸ちとせ嬢はこちらに頂こうか。』

『残念でした、ちとせは物じゃないんでね。あんたにあげるとかそういうものじゃぁないんだ。』

「タクトさん・・・・・・・。」

タクトさんの顔が微笑んでいる。

『くっ・・・・烏丸ちとせ嬢、君ならわかってくれるね。私の元に来てくれないか?』

「ご遠慮致します。」

ラウト・F・オーガさんが酷く驚いた顔をしている。

『な!なぜなんだ!そんな男より僕のほうが!』

「私はタクトさんが好きですから。あなたについて行く事は出来ません。」

『そういうこと。』

タクトさんと目が合った。

そして、微笑みあった。

『くっ!タクト・マイヤーズ!』

『はいはい、なにかな?』

『五日後の24日に僕と一騎打ちの勝負をしろ!!』

ラウト・F・オーガさんはすごいことを言い出した。

「そんな!」

『それとも、自分の命は惜しいかね?』

『・・・いいだろう。』

「タクトさん!?」

『ふふふ、楽しみにしているよ。』

そういい残すと通信が切られ、戦艦と紅い機体は宇宙の闇に消えて行った。

〜エルシオール・格納庫〜

紋章機から降りるとタクトさんが格納庫に足を運んでいた。

「タクトさん!!」

私ははしたないと思いながらも走ってしまった。

「やぁ、お帰りちとせ。」

タクトさんはいつもどうりの笑顔で私を迎えてくれた。

「どうしてあんな約束を!?」

「ん?ん〜ムカッと来たから♪」

タクトさんはいつもと同じでニコニコしながら私を見ている。

「そんな・・・・・ただそれだけの理由で・・・・・・・あんな無茶な約束を・・・・・。」

私はタクトさんにすがり付いた。

「・・・・それに・・・ちとせを物として見たあいつが許せなかったからかな。」

タクトさんの手が私の頭を撫でてくれた。

「それに無茶じゃないさ。ちとせのためなら俺は多分勝つ。」

なぜだろう・・・涙が出た。

溢れ出した涙は止めることが出来なくて・・・・ただ・・心が温かくなるのを感じた。

この人のあたたかい心が私の不安を消し去ってくれる。

この温かい心が好きで・・・・私はこの人を好きになった。

「ちとせvタクトさんを信じようよ。」

「そうよちとせ。タクトなら勝てるわよ。」

「ミルフィー先輩・・・蘭花先輩・・・・・。」

「自分の愛した女を心配させる事は許さないよタクト。」

「・・・・・あつあつ・・・・。」

「フォルテ先輩・・・・ヴァニラ先輩・・・。」

今は先輩達の優しさがうれしかった・・・・・・。

〜数時間後・クジラルーム〜

私は一人で海を見ていた。

「どうしたのですか・・・・・・。」

「・・・・ヴァニラ先輩。」

ヴァニラ先輩は私の横に並んだ。

「心配は・・心配は要らないと思います。」

「どうして・・・そう思うんですか?」

私はヴァニラ先輩を見た。

「タクトさんは・・・強い人です。」

ヴァニラ先輩は少しづつ海に歩いて行く。

「タクトさんはちとせさんが好きですからきっと・・・ちとせさんを心配させないと思います。」

私もヴァニラ先輩に続いて海に歩いて行った。

「だから、タクトさんを信じてあげてください・・・・・好きなのでしょう?」

「はい、私はタクトさんを信じてます。信じてるからこそタクトさんを好きでいられるんです。」

ぴちゃ  ぴちゃ

ヴァニラ先輩は水の中に足を入れると私のほうを向いて微笑んだ。

「頑張って・・・・ください。」

「はい。」

たまに思う・・・・・。

ヴァニラ先輩の優しさは本当の優しさだと。

時々自分のほうが年下ではないのかと・・・・・・思うほど。

12/20

バン!!バン!!

「ふ〜少しの間撃っていないだけで案外なまるものなんですね。」

私は射撃場にいた。

昨日は色々あったけどそれをずっと引っ張ることはしてはいけないこと。

今はタクトさんえのお菓子とミント先輩の言葉の意味を考えることをしなければいけません。

バン!バン!バン!バン!

六発式のリボルバーの弾を入れ替える。

「ほー頑張ってるじゃないか。」

扉のあたりから声がした。

「フォルテ先輩」

フォルテ先輩は手を少しあげると向かって歩いてくる。

「おはようございます、フォルテ先輩。」

「はい、おはよう。ったく律儀だねぇ〜あんたは。」

フォルテ先輩はそういうと12発式の少し大きめのリボルバーを持ち出した。

バババババン!!

フォルテ先輩の銃技は誰もが目を見張るものでビームガンが主流の今も重火器を使っている。

少し古いと思われがちだがフォルテ先輩の銃はビームガンを軽々と凌駕する。

「で?どうしたんだいちとせ?こんな所で。」

フォルテ先輩は銃弾を入れ替えながら尋ねてくる。

「悩み事があったのですっきりしたいと思い撃ちに来たんです。」

「そうかい、いいことだ。」

バババババババン!!

フォルテ先輩の銃さばきはいつ見ても気分がいい。

「・・・・・・タクトのことかい?」

「タクトさんのことではあるのですが・・・・・昨日の事ではありません。」

「そうかい、まっのろけ話を聞くにもならないけどね。」

コト

フォルテ先輩は銃を置くと私を見つめてくる。

「なんですか?」

「なんか飲みにいこうか。」

フォルテ先輩はそういって銃をしまった。

「はい。」

私も銃を棚にしまうとフォルテ先輩についていった。

〜ティーラウンジ〜

「そうかい、タクトにお菓子をね。」

フォルテ先輩はブラックコーヒーをすすりながらうなずいている。

「若いね〜♪」

「若いね〜って・・・・フォルテ先輩もまだ若いじゃありませんか!」

フォルテ先輩は驚いたように私を見ている。

「ふむ・・・・まぁ、まだ世間一般では若い方だわね。」

フォルテ先輩は何かを思うように天井を見ている。

「世間一般では・・・ですか?」

「そうさ、このエルシオールの中の女性はみんな若いからね〜。あたしの年になるとあんまり若い若い言ってられないのさ。」

少し落ち込んでいるようにも思えるフォルテ先輩の顔は、やはり女性なのだなと思わせる。

「どうしたんだい?あたしの顔なんか見つめたりして。」

フォルテ先輩の顔が少し赤らんでいる。

「そんなことありませんよ、フォルテ先輩は美人ですから私達はかないませんよ。」

「そうかい?・・・・・でも、タクトはあんたを選んだんだよ。」

「え・・・・・。」

一瞬真顔になったフォルテ先輩の顔はどこか寂しげであった。

が、すぐにいつもの笑顔に戻った。

「冗談だよ、で?ちとせはどんなお菓子を作りたいんだい?」

「え?はい・・・・それがまだ決まってないんです。」

「ふ〜ん・・・・。」

フォルテ先輩はブラックコーヒーをおかわりした。

「確かミントに助言されたそうじゃないか。」

フォルテ先輩はコーヒーをすすりながらにこにこしている。

「はい・・・でもその意味がわからなくて・・・・・・。」

「ふむふむ、で?どんなことを言われたんだい?」

「答えは案外・・・すぐ近くにあるかもしれない・・・って。」

コト

フォルテ先輩の顔がきりっとした。

「なるほど・・・・・さすがはミントだね。」

「どういうこと・・・・ですか?」

フォルテ先輩のきりっとした顔が一瞬にしてほころんだ。

「ん?答えは本当に簡単みたいだね。そんなに迷うことも本当は無いのかもしれないよ。」

フォルテ先輩が指揮棒をピシッとたてた。

「あんたの好きな食べ物ってなんだい?タクトの好きな食べ物ってなんだい?タクトの性格をちゃんと考えてみたらわかることさ。」

「・・・・・フォルテ先輩方は、タクトさんの事をよくおわかりになっているのですね。」

少し悔しかった。

先輩方がタクトさんのことをなんでもわかっているように話すのが少し悔しかった。

「そりゃそうさ、あたしたちはエオニアとの戦いのときからの付き合いだからね。」

「・・・・・・・。」

「でも、あんたのほうがよりわかってるんじゃないかい?タクトもあんたの事を誰よりも知っているんだよ。」

フォルテ先輩はコーヒーカップをおいた。

「私達に言わせたらあんたの方が羨ましいよ。少し遅れて入隊したあんたとタクトが結ばれたんだよ、もしかしたら他のエンジェル隊の中にもタクトに好意を抱いていた奴らもいただろうさ、なのに他の奴らは何も言わない。何でかわかるかい?」

「・・・・いいえ。」

「それは、みんながあんたを認めているからだよ。そりゃぁ悔しいかもしれないけど、認めてしまったんだから仕方が無いってことさ。あんたは胸張ってタクトの恋人をやっていればいいのさ。」

フォルテ先輩は立ち上がって伝票を掴んだ。

「あ・・お会計は私が・・・・・。」

「いいから、奢りたい気分なんだよ。」

そういうとフォルテ先輩はお会計を済ましに歩んで行ってしまった。

(私の好きな食べ物・・・・タクトさんの好きな食べ物・・・・・。)

「さ、頑張って悩みなよ〜。」

フォルテ先輩はそのままどこかに歩いて行った。

私もその場を立ち去ることにした。

〜自室〜

私の好きな食べ物とタクトさんが好きな食べ物・・・・。

私の好きなものはお饅頭や大福・・・ひっくるめて和菓子。

タクトさんの好きな食べ物は・・・・・私の知っている限りでは何でも食べる人だった。

だから、よりわからない・・・・・何でも食べる中でより好きなものを知る必要がある。

いったい答えはどこにあるのでしょう・・・・・。

すぐ近くのようで、実はとても遠い場所かもしれない。

私はそう思い始めた・・・・・・・・。

12/21

ドォォォォォォォン!!

「な!何事ですか!?」

いきなりの爆発音に私は布団から飛び起きた。

時計を確認するとまだ朝の5時だった。

「いったいなにがあったのでしょうか?」

私はすぐに部屋の外を覗いた。

すると、ミルフィー先輩の部屋から煙が出ている。

タタタタタタタタタ

角の方から足音が聞こえてくる。

「何事だ?」

タクトさんだった。

「おや?おはようちとせ。早いな。」

「は・・はぁ〜どうした・・・・・。」

その時気付いた。

私はいま寝巻きだ。

「ちょっと待っててください!!」

そういうと私は部屋の中に引っ込んで着替えた。

ガシャー

私が着替えて部屋から出る頃には他のエンジェル隊の皆さんも着替えて部屋の外に出ていた。

「で?何をしてたんだい?ミルフィー。」

フォルテ先輩がミルフィー先輩を問いただしている。

「あの・・・ケーキをつくてったんです〜。」

ミルフィー先輩は床に座り込んでいる。

「まったくあんたは静かにケーキを作れないのかしらねぇ〜?」

「ごめんなさぁ〜い。」

その後エンジェル隊のみなさんとタクトさんでミルフィー先輩の部屋を掃除した。

〜数時間後・ミルフィーユ自室〜

「で?私に何か用?ちとせ。」

「はい・・・お菓子の作り方を教えてほしいんです。」

「本当!」

ミルフィー先輩の目が輝いている。

でも、途中で輝きが失われた。

「でも、ごめんねちとせ。今みんなに料理禁止令がでてるんだ。」

「え?どうして・・・って、なるほど。」

ミルフィー先輩の部屋はまだ少し煙たくてオーブンレンジも壊れている。

それに、食堂で料理させてあげてもし爆発して壊れてしまったら普通のご飯にも影響が出ると先輩方は考えたのだろう。

「そうですか・・・・・わかりました。」

「でも、ちとせ。いきなり教えてくれなんてどうしたの?」

私はこれまでのことを話した。

「ふ〜ん、タクトさんが好きなお菓子かぁ〜。」

ミルフィー先輩は微笑みながら私を見ている。

みんなと同じような反応。

「ミントの言うとおりじゃない?答えはそんなに悩むことも無いと思うよ。」

「え?どういうことですか!?」

「う〜ん、多分私が言っちゃったら意味が無いと思うからヒントだけあげるね。」

ミルフィー先輩は私の手を握った。

「ちとせはちょっと考え過ぎみたいだね。なんでも深く考えるから難しくなるんだよ。」

その言葉は私の心に突き刺さった。

「もっと簡単に考えようねvきっとそれが一番大事だよ。」

昔いわれた事がある。

まだ家にいた時父に言われた。

私は物事を難しく考えるから簡単な事でも悩んでしまう。

それは私のいいところでもあると言ってくれた。

でも、もっと簡単に考えることもしてみなさいと・・・・。

「はい・・・・ありがとうございます。」

「うんvきっとちとせなら出来るよ。」

そういうとミルフィー先輩は立ち上がって私の手を引きながら格納庫に行った。

〜格納庫〜

「なぜここに?」

私はシャープシューターの前でたずねた。

「私今から罰として惑星カルンにお使いを頼まれたんだ。だから一緒についてきてv」

ミルフィー先輩はラッキースターに乗り込むと先に宇宙空間に飛び出した。

私も後を追って宇宙空間に飛び出した。

ピピ

『ちとせ、綺麗な星空だよね。悩みもこれで晴れるよ。』

「はい・・・・確かに綺麗ですが、本当に悩みは晴れるのでしょうか?」

『うん、きっと晴れるよ。タクトさんのことを良くわかっていればきっとね。』

〜惑星カルン〜

「じゃぁ、ちとせ。二手に分かれてお使いしようか。」

ミルフィー先輩はミント先輩とヴァニラ先輩のお使い用紙とマネーカードを渡してくれた。

「ごめんね、無理矢理だけどちゃんと御礼はするから。」

「はい、大丈夫です。」

そういうと私はミント先輩のお使いに向かった。

〜惑星カルン・紅茶ショップ〜

「えっと、まずは・・・宇宙エルスル?」

私は店員さんに宇宙エルスルという物の場所を聞いた。

「あ、はい。宇宙エルスルですね。」

私は店員さんについて店を進んだ。

「これになります。」

「あ・・ありがとうございました。」

「いいえ。」

店員さんはその場をあとにした。

私は宇宙エルスルを紙に書かれたとうり20g袋に入れた。

「あれ?花言葉が・・・・・。」

私はその場で文章を読んだ。

"宇宙エルスル:悩み・思案"

「悩み・・・ですか。」

私は次に宇宙スラスを探した。

「あ、ありました・・・・・あれ?これにも花言葉が。」

"宇宙スルス:約束・愛"

「約束・・・・・・。」

そのあとも二種類の花を買いに行ったがそこにも花言葉が書かれていた。

"宇宙マクス:質問・問い"

"宇宙ラフレ:真実・身近"

ミント先輩のお買い物は全部今の私だった。

悩み・思案・約束・愛・質問・問い・真実・身近。

そして、それはミント先輩の企みのようにも感じた。

なぜいきなりミルフィー先輩がお使いを手伝って欲しいと言い出したのか。

もしかしたらこれはミント先輩が頼んだことなのではないだろうか。

ミント先輩が言ってくれた言葉の答えのヒントを教えるために。

それを裏付けるのはミント先輩が頼んだ花だけ花言葉が書かれていたことだ。

「頑張ります!」

そのあと支払いを終わらせ次はヴァニラ先輩のお使いに向かった。

〜惑星カルン・ケミカルショップ〜

「え〜っと・・・・包帯に消毒液、スポンジにガーゼにテープ。」

私はかごの中のものを確認してレジに持って行った。

「ありがとうございました。」

〜惑星カルン・中央広場〜

「ふ〜お使いも簡単じゃないんですね。」

私はベンチに腰をかけてミルフィー先輩を待っていた。

「はぁ〜答えはすぐ近く・・・・・・・・タクトさんの性格・・・・・・・。」

タクトさんは来たものを普通になんでも受け入れる。

でも、拒絶するものはちゃんと拒絶する。

自分に強い人。

他から見ると自分に甘い人に見えるけど実はすごく自分に厳しい人だった。

「はぁ〜。」

「どうしたのちとせ?ため息ばかりして。」

ミルフィー先輩が気付いたら目の前に立っていた。

「あ、ミルフィー先輩。いえ、少し考え事を。」

「そう、さぁ帰ろうかちとせ。」

ミルフィー先輩は先を歩き出した。

〜宇宙空間〜

『ねぇちとせ、タクトさんのことは好き?』

いきなりだった。

それまでお菓子の話で盛り上がっていたのにいきなり話が変わった。

「え!?は・・・はい。」

『どれくらい?』

「・・・・・・わかりません。でも、大好きです。」

ミルフィー先輩は微笑んだ。

『その答えは、100点満点だよv』

「え?」

分からなかった。

今のあいまいな答えが100点なんて。

『すごく好きとか世界で一番好きとかいう言葉なんて幾らでも言える。でも、ちとせの答えは心の中にある素直な気持ちがそれ。なんにもない、只好きっていう気持ちが一番なんだよ。』

「ただ好きっていう・・・気持ち。」

『そう、今ちとせは難しく考えた?多分考えても答えなんか出ないよ。難しく考えずにでた答えが100点満点♪』

ミルフィー先輩は強い人だった。

すごく説得力があって、優しく微笑んでくれる。

エンジェル隊の先輩方はみんな持っていた。

他人を思いやる気持ちと、優しさを。

私はそんな人たちのいるエンジェル隊に入隊して良かったと改めて思った。

「ありがとうございます!」

『うん♪』

そのあと、私とミルフィー先輩はお菓子の話で盛り上がりながらエルシオールに帰還した。

〜エルシオール・自室〜

ピッ

クリスタルに通信が入った。

『ちとせさん、今日はお使いして頂いてありがとうございました。』

「いえ。」

『あら、もしかしてお気づきになりましたか?』

「はい、今日のミント先輩のお使いはミルフィー先輩とグルだったんですね。」

『ええ、さすがですわv』

「ミント先輩のお使いとミルフィー先輩のおかげで何かを掴んだ気がします。ありがとうございました。」

『いえ、頑張ってください。』

ピッ

クリスタルの通信が切れた。

今日は何だかグッスリ眠れる気分がした。

12/22

後二日・・・・きっと楽しいパーティーが出来るはず。

私は昨日のことで答えを見つけ始めたような気がしました。

きっと、あと少しで答えに手が届くはず。

私からタクトさんへの初めての手作りお菓子の答えに・・・・・・。

〜シュミレーションルーム〜

私は朝起きてからすぐにシュミレーションルームに出向いた。

なんとなくだった。

シュミレーションルームに誰かがいるような気がしたから・・・私は行くことにした。

案の定そこには誰かがいた。

「タクトさん、おはようございます。」

「ん?ああ、ちとせ。おはよう。」

タクトさんは戦闘シュミレーション機に乗っていた。

「う〜ん、さすがに戦闘機は難しいな。」

そうはいっているがタクトさんの訓練結果をみて私は度肝を抜かれた。

"シュミレーション結果
 時間:00時間10分21秒
 撃破機体:36機
 HIT:97%
 残り耐久89/100"

「す・・すごい!!」

私は本気でびっくりした。

「う〜ん、まぁこれもちとせを守るためだから頑張れるんだよ。明後日は敵機は一機だけど、多分実力はこんなシュミレーションでは計り知れないだろうからね。」

タクトさんは頭をかきながら苦笑している。

「ですが、これはすごいですよ!こんな腕があったなんて。」

「いや・・勝負を挑まれた日から毎日通いつめてシュミレーションやってたら慣れてきたからね。なんかゲーム感覚でね。」

タクトさんはそういうとシュミレーション機から降りた。

「ちとせ、これから少し空いてる?」

「はい、大丈夫ですけど。」

「OK,じゃあちょっとついて来て。」

私はタクトさんについていった。

〜格納庫〜

「さ、紋章機に乗り込んで。」

「は・・はい。」

私はうながされるままにシャープシューターに乗り込んだ。

タクトさんも私に続いてシャープシューターに乗り込んだ。

「さすがに二人のると狭いな〜悪いけどこのまま宇宙空間に出てくれる?」

「はい・・・分かりました。」

私はハッチが開いたので宇宙空間に飛び出した。

「なるほど、戦闘機系はこういう視点か。」

タクトさんが一人でうなずいている。

「あの、どうして宇宙空間に?」

「ん?ああ、戦闘機で宇宙空間に出たときの感覚をもう一度味わっておきたくてね。前にヴァルファスクのときに感じた感覚を取り戻そうと思ってね。」

私はその言葉を聞いてうなずいた。

「わかりました、お好きなだけお付き合いします。」

「ありがと。」

そのまま2時間程宇宙空間を飛び続けた。

〜格納庫〜

「う〜ん・・・さすがに長時間は疲れるなぁ〜。」

タクトさんが腰を伸ばしながらうなっている。

「ええ、確かに。」

私もタクトさんにならって腰を伸ばした。

「さて、ちとせ。俺はブリッジに戻るけど・・・・・・。」

「はい、私も自室に戻ります。」

タクトさんが歩み寄ってきた。

タクトさんは私の髪の毛を撫でるとブリッジに向かって歩いて行った。

が、途中で振り返って。

「ありがとう、つき合ってくれて。」

「いえ、お気になさらずに。お仕事、頑張ってください。」

「ああ、じゃっ。」

そのままタクトさんはブリッジに向かって行った。

後姿を目で追いながら私はタクトさんに撫でられた髪を触った。

「・・・・ふふv」

不思議なくらい胸がドキドキとしている。

顔が熱くなっているのに気付くのに少し時間がかかった。

ただ撫でられただけなのにすごく気持ちよくて・・・うれしかった。

「さて、私も頑張ります!」

私は胸の前でガッツポーズをしてから歩き出した。

その日の夜、私は公園に出向いた。

なんとなく眠れなくなったから。

シャー

公園に入ると白いものが降っている。

「・・雪?」

雪がぱらぱらと降っていてとても綺麗。

「うわ〜雪なんて久しぶりに見た気がします♪」

おもわず駆け出してしまった。

木の下あたりに来ると一度足をとめた。

「・・・・・・木って本当にたくましい・・・・・・。」

ふと視線を横にすると枝が落ちていた。

枝の周りは白い雪が積もっていた。

私は雪を少し集めて小さな雪だるまを作った。

「タクトさんも雪、すきでしょうか?私は好きだから・・・・タクトさんもすきだったらいいな・・・・・・タクトさんもすきだったら・・・・・・・・。」

キラン

すべてのピースが揃った。

私の中にあったすべての謎が解けた。

「そういうことだったんですね!」

私は雪だるまを木の下に置くと公園を飛び出した。

〜ミントの部屋〜

「そうですか、やっとわかったのですね。」

「はい、本当にすぐ近くに答えはありました。」

ミント先輩は微笑んで紅茶を入れてくれた。

「ミルフィー先輩の言うとうりでした。難しく考えすぎていたようです。」

「ふふ、うれしそうですねv」

「はい・・・・・・でも、なんだかまだ少し物足りない気がするんです。」

「そうですか、ならこれをお使いになさってみてはどうですか?中に入れるとか。」

「あ!なるほど!ありがとうございます!」

「ええ、あと一息ですわよ、頑張ってくださいまし。」

「はい!」

12/23

明日、すべてのイベントが行われる。

私の悩みは完全に解消し、後は練習あるのみとなった。

私は朝からミルフィー先輩の部屋でずっと練習を繰り返していた。

「ちとせ、ちょっと休もうか。根を詰めすぎてもいいものは出来ないよ。」

ミルフィー先輩はエプロンをはずしながら話し掛けてくる。

「はい、そうですね。」

私もエプロンをはずした。

「ちょっと、外の空気を吸いに言ってきます。」

私はそういい残し艦内を歩き回った。

〜格納庫〜

ガシャーーン

格納庫に着いたときに輸送機が格納庫に到着したところだった。

輸送機から一機の戦闘機が出てきた。

外見は紋章機に似ている。

一番目立つ武器というと機体の後方に取り付けられている不思議な型をした筒である。

その他は、中距離レーザー砲・中距離ミサイル・FLE特殊遠距離追跡ミサイル。

そして、とても大きなブースター。

「あ、ちとせさん。」

格納庫の奥のほうから一人の女性が近づいてくる。

整備班長のクレータさんだ。

「こんにちは、クレータさん・・・ところであれは?」

「ああ、あれですか?機体名:ナイトウィッシュ、タクトさんの機体です。」

タクトさんの機体・・・・・これに乗ってタクトさんは戦うのか。

「あの、後ろの筒は?」

「ああ、あれですか?実はまだわからないんですよ。知っているのはタクトさんとレスターさんとルフト将軍だけのようです。整備はいいと言われているので調べようもありません。」

クレータさんはひどく残念そうに話している。

「で?ちとせさんはこんなところで何をしているんですか?」

「いえ、なんとなく歩いていたら音がしたので来てみたんです。」

「そうですか、私はてっきりタクトさんを探しに来たのかと思いましたよ。」

クレータさんは笑いながら奥に歩いて行った。

「クレータさんったら・・・・・・・でも、どうしてここにタクトさんはいないのでしょう?ご自分の乗る機体が届いているのに・・・・・・。」

私は疑問を残したまま散歩を続けた。

でも、その疑問もすぐに解消した。

タクトさんはシュミレーションルームにいたからだ。

それも今回はフォルテ先輩と蘭花先輩を敵に回して戦闘訓練をしている。

(頑張ってください。)

私は心の中で応援してすぐにミルフィー先輩の部屋に急いだ。

それから夜までずっとミルフィー先輩の部屋でお菓子作りをした。

「か・・・完成です!!」

「わぁ〜おいしそぉーう♪」

ミルフィー先輩が私の作ったお菓子に手を伸ばそうとした。

パチン

ミルフィー先輩の手が叩かれた。

「いたーい。」

ミルフィー先輩は目に涙を浮かべている。

その隣には当たり前のように蘭花先輩が立っていた。

「勝手に手を出さないの!」

「そうだよミルフィー、これはちとせが頑張ってタクトのために作ったお菓子なんだから。」

フォルテ先輩が指揮棒を振り回しながら立っている。

が、言葉とは裏腹にフォルテ先輩の目線もずっと私のお菓子から離れていない。

「もう、みなさんはしたないですわ。」

そんなことを言っているミント先輩の目線もお菓子から離れていなかった。

「・・・・良い出来だと思います。」

ヴァニラ先輩がほめてくれた。

「ありがとうございます。」

私はヴァニラ先輩に一礼をした。

「ね、ちとせ、ブルースカイのおかげで迷いが晴れたでしょう?」

ブルースカイ・・・数日前に作ってのんだ占いの水。

「は・・・・はい・・・・・・。」

実は飲んだのだがまったく効果がなく、半分以上存在を忘れかけていた。

「ほらね〜さすがは占いの力よねぇ〜♪」

「ははは・・・・・・。」

私はつい苦笑いをしてしまった。

「ちとせ、このお菓子どうするの?」

「あ、はい。一応冷蔵庫で寝かせるつもりです・・・・・お借りしてもよろしいでしょうか?」

「うん、もっちろん♪」

私はミルフィー先輩に出来たお菓子を渡そうとした瞬間。

ひょい。

私のお菓子を受け取ったのはミルフィー先輩ではなくヴァニラ先輩だった。

「あれ?どうしたのヴァニラ?」

「・・・・・・・・・その・・・・。」

ヴァニラ先輩が少し口ごもっていると。

「いいではありませんかミルフィーユさん、ヴァニラさんにお手伝いをさせてあげても。」

ミント先輩が何かを読み取ったのか、ヴァニラ先輩をかばった。

{どうしてヴァニラ先輩はミルフィー先輩が受け取るのを阻止したんですか?}

私は小声で蘭花先輩に尋ねた。

{そんなの簡単じゃん、ミルフィーならもしかしたら落として苦労が水の泡になるかもしれないからじゃない}

{なるほど・・・・・・・・。}

つい納得してしまった。

「あ、そうか。ヴァニラやさしいねv」

理由を知ってか知らずかミルフィー先輩は微笑んでいる。

そうして無事に私の作ったお菓子は冷蔵庫に保管された。

後は明日のパーティとタクトさんの決闘だけが残る・・・・・・。

〜公園〜

私がミルフィー先輩の部屋からでて少ししてからタクトさんから通信が入った。

私はタクトさんに言われたとうりに公園に出向いた。

公園に入ると木の下にタクトさんは座っていた。

私は駆け寄った。

「ごめんな、こんな夜遅くに呼んだりして。」

「いえ、大丈夫です。」

私は座っているタクトさんの隣に腰をおろした。

「ちとせに頼みたいことがあるんだ。」

「はい、なんでしょう?」

私はタクトさんの方を振り向いた。

「俺は明日決闘に行く。これはちとせを守るためでもあるけど、俺のちとせへの思いを確認するためでもあるんだ。けど、正直勝てる自身が今は無い。だから約束してくれないか、俺をずっと横で支えてくれ。戦闘に参加してくれっていう意味じゃない、俺と一生一緒にいてくれないか?俺はちとせを悲しませるために戦いには行かない、絶対勝って帰ってくる。その時は・・・俺を抱きしめてくれ。ちとせの愛で。」

うれしかった。

私をこんなにも思ってくれている人がいる。

私のために戦場におもむいてくれる人がいる。

勝てるかわからない戦いも私を思って戦いに行ってくれる。

私はこんなにもこの人に愛されていたことを改めて思い知らされた。

だから私は答えた。

私の精一杯の笑顔で。

「はい!勝って帰ってきてくれるのを・・・・・待ってます!」

「ありがとう・・・・・・。これで戦いに行ける。」

「タクト・・・・さん・・・・・・・。」

私はタクトさんと唇を重ねた。

ずっとこのままでいたい・・・・時間よとまれと・・・・心の中で・・・・思った。

でも、それは願わないと決めた・・・。

この温かい気持ちはずっと味わうより時々味わうほうが・・・・・嬉しいと思ったから。

「ふぅー、よし!絶対勝つぞ!!」

「はい。」

「じゃぁ、おやすみ・・ちとせ。」

そう言ってタクトさんは公園を後にした。

私は自分の唇をそっと触れた。

まだ少し残るタクトさんの温かさを確かめるように・・・・・・・・・。

12/24

その日は朝から騒がしかった。

騒がしい理由はクリスマスパーティーの準備で皆さんが艦内を走り回っているからで。

みなさんはタクトさんを心配していなかった。

心配していないというか、信頼しているからだった。

だからみなさんはパーティーの準備を出来るのでしょう。

だから私もタクトさんを信じてパーティーの準備をすることにした。

その時はいきなり訪れた・・・・・。

ビーーーービーーーーー

第二次戦闘配備のブザーが鳴った。

が、今日は戦闘配備するのはエンジェル隊ではなく・・・・・タクトさんだった。

私は急いで格納庫に向かった。

〜格納庫〜

私が格納庫についた頃にはタクトさんがナイトウィッシュに乗り込もうとしていたところだった。

「タクトさん!!」

私は思わず叫んでしまった。

タクトさんは少し驚いてゆっくりとこちらに振り向いた。

「やぁ、ちとせ。どうしたんだい?」

それは私の緊迫した気持ちを一瞬に崩した。

「え?あ・・・・・その・・・・。」

私はおなかの下に力をこめた。

「待ってます!!」

私は頭の中に考えていた言葉をすべて消した。

難しく考えた言葉より頭の中に思いついた言葉を使った。

「・・・・ありがとう、絶対帰ってくる。」

そういってタクトさんはナイトウィッシュに乗り込んだ。

「ちとせさん!そんなところに立っていたら宇宙空間に吸い込まれますよ!」

「え・・・はい。」

私は格納庫から出たとき外をナイトウィッシュが翔けて行った。

私はすぐにブリッジに向かった。

〜ブリッジ〜

「あ、ちとせ。遅いわよ。」

「まぁまぁ蘭花さん、きっとタクトさんを送ってきたんですわよ。」

蘭花先輩とミント先輩はいつもどうりに話をしてはいるがどこかよそよそしい。

周りを見回してみても皆さん同じでよそよそしい。

レスターさんがふいにこちらを向いた。

「ちとせ、タクト何か言っていたか?」

「はい、必ず帰ってくると。」

「そうか、なら大丈夫だ。あいつは絶対に帰ってくる。」

レスターさんは突然安心したような顔をした。

いつものレスターさんとの顔とは違って優しかった。

「ナイトウィッシュ前方3000に敵艦隊出現。」

来た。

「敵艦隊から戦闘機一機出現!ラウト・F・オーガ機です!」

これから始まる・・・・。

「ラウト機からタクトさんに通信が入りました。受信します。」

ピッ

『やぁ、タクト・マイヤーズ。恐れをなして出て来ないと思ったよ。』

『ああ、正直逃げたいよ。でも、逃げたらちとせを君に奪われるんだろう?』

『ああ、ご名答。わかっているんなら始めようか!!私のアグネルスが相手だ!!』

そういい残して通信がきられた。

アグネルスと呼ばれた戦闘機が加速してナイトウィッシュに向かった。

「タクトさん!」

ナイトウィッシュも加速しだした。

「「「「「「「え!?」」」」」」」

私とエンジェル隊、レスターさんは声を漏らした。

が、レスターさんだけは途中で何かに気付いてうなずいた。

「なぜです!なぜタクトさんは真正面からアグネルスに向かったんですか!レスターさん。」

「あ?ああ、それか。」

アグネルスは意表を付かれて右にそれた。

そのままナイトウィッシュの右側からミサイルを放った。

「タクトのナイトウィッシュにはな。」

ナイトウィッシュはミサイルを交わして中距離ミサイルを放った。

アグネルスはレーザー砲でミサイルをすべて打ち落とした。

が、その瞬間にナイトウィッシュはアグネルスとの距離を縮めた。

「隠された武器がある。」

アグネルスはナイトウィッシュの接近に気付いて弾幕を張った。

ナイトウィッシュは弾幕を避けきった。

が、アグネルスはナイトウィッシュから距離を離して遠距離レーザーキャノンで攻撃してくる。

「隠されてるというか見えてるあの筒なんだけどな。」

ナイトウィッシュはアグネルスのレーザー攻撃を回避しながら接近している。

が、アグネルスも接近を許さず弾幕を重ねた。

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド!

激しい爆発音が聞こえた。

ナイトウィッシュがミサイルを受けた。

が、ナイトウィッシュにそれといって傷は見られない。

「超接近攻撃専用に作られた武器のために装甲は厚いからな。」

ナイトウィッシュは体勢を崩さずアグネルスに向かう。

ナイトウィッシュとアグネルスの距離が縮まった。

そのときナイトウィッシュの筒が外れた。

ガキーーン!!

筒の中から現れたのは銀色に輝く刃物だった。

あれには見覚えがある。

私の星に存在した物。

刀だった。

「あれがナイトウィッシュの秘密兵器さ。」

ナイトウィッシュが急速に加速した。

ブヲン!!

まさに音速。

それはあの大きなブースターのおかげでなされるスピード。

ザシュン!!

まさに一閃。

加速したと思われたナイトウィッシュはアグネルスをまっすぐ斬っていた。

まさにその一撃は稲妻の如し。

アグネルスは上下に真っ二つ。

が、爆発はしない。

切れ目が綺麗なおかげで致命傷にかかわらず爆発はしない。

それはタクトさんの狙いのようにも思われた。

ナイトウィッシュは速度を落としながらアグネルスを捕まえた。

ナイトウォッシュはアグネルスを敵艦に引っ張っていって返した。

その後ナイトウィッシュはすぐにエルシオールに帰還した。

私はすぐに格納庫に走った。

〜格納庫〜

シャーー

「はぁはぁ・・・・・・・。」

私は格納庫まで全速力で走った。

今までにないスピードで。

「・・・・・・ちとせ。」

ナイトウィッシュの前にタクトさんは立っていた。

「タクトさん!!」

私はタクトさんに駆け寄って抱きついた。

「お帰りなさい・・・・・タクトさん。」

「ただいま・・・・ちとせ。」

約束したから。

タクトさんは約束してくれた。

そしてそれを果たしてくれたから・・・・・・。

次は、私の番。

「タクトさん、パーティーでは私の手作りお菓子を・・・・・進呈します。」

「・・・・・ありがとう。楽しみにしてるよ。」

〜ブリッジ〜

「いやぁ〜、ただいまみんな。」

タクトさんはいつもどうり笑顔でブリッジに顔を出した。

「ああ、お帰り。」

「あれ?みんなは?」

「全員パーティーの準備に向かったよ。」

ブリッジにはいつもの皆さんしかいなかった。

ピッ。

エルシオールに通信が入った。

「ラウト・F・オーガから通信です。」

『タクト・マイヤーズ。いい戦いだった。』

「ああ、本当に。」

『私は今ならわかるよ、烏丸ちとせ嬢がタクト・マイヤーズを選んだ理由が。』

ラウトさんの顔はとても穏やかだった。

「・・・・・・・・。」

『幸せに・・・・・って私が言うのは可笑しいが・・・・。』

「ああ、大丈夫。幸せにするさ。」

『そうか、なら安心だ。ただしもし烏丸ちとせ嬢を泣かしたらまた勝負を挑むからな!』

「ああ、楽しみにしてるぞ・・・・ラウト。」

『ふふ、ではな・・・・タクト。』

ピッ

「通信切れました。」

「敵艦隊撤退していきます。」

何かが生まれたみたいです。

これが友情なのでしょうか。

私は男性の友情のありかたを知った。

その後タクトさんは一度自室に戻った。

私はパーティーの準備に向かった。

タクトさんの戦闘から2〜3時間たった頃、すべての準備が整った。

私は皆さんにうながされタクトさんを呼びに行くことにした。

コン  コン

私は司令室の扉を軽くノックした。

「あの、タクトさん・・・・準備が出来ました。」

返事が返ってこない。

(?)

シャーーーーー

扉が開いた。

「・・・・・・・?」

無用心と思いながら私は中に足を踏み入れた。

私はきょろきょろ周りを見回しながら奥に進んだ。

ぐー  ぐー

タクトさんがいた。

まぁ、当たり前のことなんですけど・・・・タクトさんがいた。

タクトさんはイスに座って何か小さな箱を持って寝ていた。

「?タクトさん・・・・タクトさん。」

私はタクトさんに近づいて揺り起こした。

「ん・・・・ああ・・・・・ちとせか・・・おはよう。」

タクトさんは目をこすりながらゆっくりと起きた。

「あ、目をこするのは余りしないほうが・・・・・・ふふ。」

「ん?どうしたんだいちとせ?」

「いえ、何でもありませんよ。」

タクトさんは頭の上に?マークを浮かべたまま立ち上がった。

「で?なんでここに?」

「あ、はい。パーティーの準備が出来たので呼びに来たんです。」

一瞬タクトさんは驚いた顔をした。

「え!俺そんなに寝てたのか!?あっちゃー寝すぎたか・・・・・・。」

「いえ、準備は半分以上終わらせていたのですぐに終わりましたから気にすることはありませんよ。」

「ああ・・・そうか、ありがとう。」

そう言うとタクトさんは私の手を握って歩き出した。

「あ・・・・・・・・。」

顔が熱くなるのを感じた。

〜公園・パーティー会場〜

私達は公園に足を一歩踏み入れた。

パン  パン  パン

いきなり回りからクラッカーが鳴らされた。

「「「「「「「「おめでとうございまーーーーーーす!!」」」」」」」

クラッカーはエルシオールの船員が鳴らしたものだった。

「「え?」」

こんな余興は私も聞かされてなかった。

クラッカーの後木の下にいたエンジェル隊の先輩方が。

「「「「「クリスマスパーティーの始まり!!」」」」」

その一言で一気に皆さんのテンションが上がった。

「う〜ん・・・なんだったんだろう最初のクラッカーの意味。」

「・・・・・さぁ。」

二人で?マークを浮かべたまま立っていると。

「なにやってんのよ二人とも!早く来なさいよ!!」

蘭花先輩達が木の下で手招きしている。

「行こうか、ちとせ。」

「はい。」

私達は手をつないだまま木の下に向かった。

「まぁ、手なんかつないでおあついですわv」

ミント先輩のからかいがなんだか嬉しかった。

それから長い時間がたった。

皆さんはお酒を飲んだり暴れたりで寝ていたりヴァニラ先輩に怪我をしたのを癒してもらったりとしている。

エンジェル隊のみなさんは気付いたら木の下からいなくなっていた。

ただ。

私の隣には私の作ったお菓子が置かれていた。

「ちとせ・・・・・受け取って欲しいものがあるんだ。」

ゆっくりとした声で隣から聞こえた声は私の好きな人の声だった。

「私も・・・・受け取って欲しいものがあるんです。」

私は隣に置かれていたお菓子を手に取った。

「それは・・・・・?」

「これは私がはじめて好きな人に作ったお菓子です。すごく悩んだんですよ、タクトさんはどんなお菓子が好きなかを。でもわかったんです、タクトさんなら私の作ったものはなんでも好きなのかもしれないって。もらえるものは何でも貰う人なんだって。」

「うん、何でも貰うな。でも、ちとせのは特別。」

そう言ってタクトさんは私の手からお皿を受け取った。

お皿の上には雪だるまの形に大福が重ねられていた。

枝の形のチョコレートを手のようにして、大福にはクッキングパウダーをちりばめた。

お皿の上にもクッキングパウダーをたくさんちりばめて雪をイメージした。

「うん、おいしそうだ。」

タクトさんは大福を半分に切った。

すると中には下層から、スポンジ、イチゴ、ホイップクリーム、イチゴと、ショートケーキ風に重ねられている。

タクトさんは一口食べた。

「あの・・・・どうですか?」

「うん!おいしい!おいしいよちとせ!」

タクトさんは次から次えとパクパク食べていく。

「イチゴはミント先輩から頂いたんです。」

そう、22日にミント先輩から渡されたものはイチゴだったんです。

とっても貴重で甘い"宇宙メロンイチゴ"もう、メロンだかイチゴだかわからないネーミングですがイチゴなんです。

とっても濃厚な甘さがおいしいイチゴです。

「うん、おいしいよ、ちとせも・・・はい。」

タクトさんがフォークに大福を刺して渡してくる。

「あーん。」

タクトさんが口を開けるジェスチャーをしている。

「あ・・・あの・・・・。」

私は恥ずかしいけどタクトさんを見ると目はすごく真剣だった。

私はすこしはにかみながら口を開けた。

「あ・・・あーーーーん。」

私が口をあけるとタクトさんは大福を入れてくれた。

「んっ・・・・むぐ。」

「どう?おいしいだろ?」

「はい・・・・おいしいです。」

「じゃあ、次は俺だな。」

タクトさんはお皿を隣に置くとポケットからさっき持っていた箱を取り出した。

「あの・・・・それは?」

タクトさんが少し微笑みながら箱を開けた。

箱の中からはまた箱が出てきた。

「受けとって欲しい。」

そう言ってタクトさんは箱を開けた。

中にはなんと指輪が入っていた。

「ゆ・・・びわ・・・・?」

「ああ、プロポーズってやつかな?」

タクトさんは少し恥ずかしそうに指輪を取り出した。

「受け取ってくれるか?」

「・・・・・・はい。」

私はそっと左手を差し出した。

タクトさんは私の左手を掴んで指輪をはめた。

「ありがとう。」

「はい。」

そのときの空の映像はとても綺麗だった。

まるで映像ではなくて本当の夜空のように。

光り輝く星は今の私の心の中のように・・・・・・・温かかった。

「タクトさん・・・・・。」

私はそっとタクトさんの腕に手をまわした。

「・・・・・・・。」

タクトさんは何も言わずにそっと私に口付けをした・・・・・。

その口付けは、私のすべてを包み込んだ。

私の心はこの人に完璧に奪われていた。

きっと・・・・これからもずっと・・・・・・。

私はこの人を愛し続けるだろう。

死ぬまで・・・・・一生。

〜エピローグ〜

あの日から二年の月日が経った。

私は今一人個室にいた。

こん  こん

「入って良いかな?」

扉の先で男の人の声がする。

「はい、どうぞ。」

私は男の人を部屋に招きいれた。

「・・・・・・・・・。」

男の人は部屋に入って私の姿を確認するなり黙った。

「こういうときは何か感想をいうものですよタクトさん。」

タクトさんは「はっ!」っとして。

「うん、とっても綺麗だ。さすがはちとせ。」

結構言われると恥ずかしいものだった。

ガチャ

扉が開いた。

「マイヤーズ様、準備が出来ましたのでこちらに。」

「はい。」

タクトさんは部屋の外に出て行った。

「さぁ、あなたもこちらへ。」

私も部屋の外にでた。

私は女の人に誘導されてある教会の前まで行った。

「では、なかえどうぞ。」

私はゆっくりと歩みだした。

大きな扉が開いた。

すると中からは大きな拍手が聞こえた。

私は少し顔を赤らめながら歩く。

紅いジュータンの上を。

その道のことを「処女の道」そう、ヴァージンロードである。

道の先にはタクトさんが立っている。

私はゆっくりとタクトさんのもとに歩んで行った。

「ちとせ・・・・・。」

「タクトさん・・・・・。」

「ゴホン。」

私がタクトさんのもとに歩んでいって目をあわしていると、教壇に立ったおじさんが咳払いをした。

「よろしいですかな?」

「あ、はい。」

おじさんは本を開いた。

「汝タクト・マイヤーズは病める時も、貧しきときもこの女性を嫁とし、愛することを誓いますか?」

それは小さい頃からの夢。

「誓います。」

女の子の永遠の夢。

「汝烏丸ちとせは病める時も、貧しきときもこの男性を夫とし、愛することを誓いますか?」

今かなう夢。

「・・・・・・・・誓います。」

もっとも愛した人との。

「では、指輪の交換を。」

籍を入れる行為。

「では、誓いのキスを。」

結婚式。

「これにてあなた達を夫婦とみなします。」

本当の幸せは・・・・今、ここに。

私は心からこう思う。

「私は今、とても幸せです!」

っと。


〜後書き〜

うわーーーーん(泣

ちとせが結婚してしまった(号泣

自分で書いておきながら結構悲しい。

でも、嬉しいですv

いや〜これでちとせの愛らしさをわかってくれるかわかりませんが、わかっていただけると幸いです。

ちとせの魅力は絶大です!

では、ここまで読んで頂いてありがとうございました。


    汚絽絽or魏竜神or龍之介



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