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〜ギャラクシーガーディアンズ〜




第一章 『出会い』

第一話



???:「はぁ〜…。」
ため息をついた彼女の名は、「紫劉(シリュウ) ようか」。
女性にしては、少し高めの身長に、腰くらいまである少々灰色のかかった長い銀髪。
一見、どこにでもいる娘なのだが、少し違和感があった。
それは、帯刀をしているからだ。
その部分を除いては、普通の娘なのだが。
ようか:「はぁ〜…。」
ようかは、2度目のため息をついた。
ようか:「まったく、父さん達ったら、「武者修行に行って来い」なんて言って…。」
ようかは歩きながら、その時の事を思い出していた。

ここは、ようかの自宅。
ようま(ようかの父):「ようか。明日、誕生日だろう?」
ようか:「うん、そうだけど。あっ、プレゼントなんていらないからね。」
ようかは明日で、20歳になるのだ。
ちなみにこの惑星では、20歳で、大人入りとなる。
ようま:「いや、実はおまえに、大事な話があるんだ。」
そう真剣な顔をして言うと、改めてようかの方を向いた。
ようか:「何?大事な話って?」
春香(ようかの母):「あのね、あなたには、きついことになるかもしれないけれど…
武者修行に行って来てほしいの。」
ようまの代わりに、春香が答えた。
ようか:「えっ。…武者修行〜!?」
ようかは、一瞬固まり、叫んだ。
ようま:「そうなんだ。おまえ、明日で20歳になるだろう?
実はな、紫劉家は代々20歳になったら、男,女関係なしに、
武者修行を1年やらなければならないんだ。」
ようか:「えっ?ちょっ、ちょっと待ってよ。どういう事よ、それ?
私にも都合ってものがあるの!考えさせてよ!」
そして、ようかは家を飛び出したのだ。

ようか:(私も、武者修行に行って、剣術,刀術,槍術を極めたいけれど…。
突然言われたって困るよ。父さん。母さん。)
ようかは、街中を歩きながら、武者修行について考えていた。
そんな時である、不意に背後から男の声が聞こえてきた。
ナンパ男A:「なぁ、なぁ、ねぇーちゃん。俺たちと遊ばない?」
ナンパ男B:「そんな物騒な物、持ってないでさぁ。どうせ、偽物なんだろう?
護身用の。そんな物は捨てて、楽しいことやろうぜ。」
声の主は、たんなるナンパをしにきた男だった。
ようか:「……。」
ナンパ男A:「無視しないで、ねぇ。」
ナンパ男B:「たった5分だけでいいからさぁ。」
その時、目にも止まらぬ速さで、何かが動いた。
ようか:「あんまりしつこいと、斬りますよ?
斬られたくなかったら、今すぐこの場を立ち去りなさい!」
ようかは、鞘から刀を抜き出すと同時に、その2人に一喝した。
そう、動いたものとは、ようかの刀だったのだ。
ようか:「それとも、本物かどうか、あなた達の身体で試してみます?」
不気味な笑みを浮かべる。
ナンパ男A・B:「うっ、うわぁー!すみませんでした〜。」
そう叫びながらナンパ男2人は、一目散に逃げだした。
男たちのうしろ姿を見つつ、納刀した。
ようか:「ふぅ…。今日の運勢は最悪かも。」
と、自分の今日の一日に、気が滅入った。
そう滅入っていると、突然、子供の叫び声が、ようかの耳に入ってきた。
その叫び声の方向は、その場から近い空き地の方からだった。
ようかは気になり、空き地に近づいた。

空き地の端まで来ると、大声が聞こえてきた。
???:「おい!貴様ら!!私が誰であるかを知っていて、このような事をしているのか!
放せ!やめろ!」
ようか:(えっ!なっ、何?子どもの声?)
そう心の中で迷っていると今度は、その声とは別の男の声が聞こえてきた。
不良男A:「うるせぇー!黙りやがれ!このガキが!殴られてぇのか!」
不良男B:「おい、やめろよ!アニキに殺されるぜ。」
不良男A:「おっ、おう。そうだな。」
ようかが耳を澄まして聞いていると、また違う男の声が聞こえてきた。
不良男C:「おい。シヴァ皇子の誘拐には、成功したのか?」
ようか:「えっ!シヴァ皇子の誘拐!?」
ようかは、思わず大きな声を出していた。
不良男C:「誰だ!そこにいるのは!」
ようか:(あっ!しまった!)
当然の結果、気付かれてしまった。
ようかは少し慌てたが、すぐに冷静さを取り戻した。
不良男B:「ん?あれって、女じゃないッスか?」
不良男A:「あぁ、そうだぜ。女だ。どうします?」
と、その男達より"上"である残り1人に聞いた。
不良男C:「見られた以上、生きて返すわけにはいかねぇ。殺せ!」
不良男A・B:「はっ!」
不良男A:「おらぁぁぁー!!」
男は、持っていた棒を振りかざし、ようかの方に突撃してきた。
ようか:(出来ることなら、無駄な殺生はしたくないんだけれど…。
でも、相手が『悪』ならば、やらなければならないわ!)
自分を鼓舞した。
ようか:「あなた達、女だからといって甘く見ていると、痛い目を見ますよ!」
そう言って、彼女は自分の腰の方に手を伸ばした。
不良男A:「ふん!!」
男は、棒をようかに振り下ろした。
その刹那。
ひとつの閃光がほとばしった。
不良男A:「………っ。」
男は、声もなくその場に崩れ落ちた。
胸辺りに、きれいな一文字の傷跡が出来ている。
ようか:「遅すぎます!」
その様子を見ていたもう片方は
不良男B:「く、くっそー!!」
がむしゃらにようかに突っ込んできた。
不良男B:「死ねやー!!!」
ようか:「たぁぁー!!」
ようかの掛け声と同時に男の首と胴体が、きれいに分かれた。
ようか:「さぁ、次はあなた?」
チラリと残った男を見る。
不良男C:「くそっ!」
男は逃げ出した。
ようか:「ふぅ。」
一息つきながら、刃についた血を、取り出したポケットテッシュから、
片手で器用に1枚取り出し、それで吹き、刃を鞘に収めた。
ようか:「あっ!シヴァ皇子は!?」
と、シヴァ皇子を捜そうとする。
シヴァ:「おい!ここだ!」
すぐに声が聞こえた。
ようか:「ご無事でしたか?」
ようかは、シヴァ皇子に結ばれていたロープを切りながら言った。
シヴァ:「あぁ、大丈夫だ。」
ようか:「それは良かったです。」
そう言いながら、ふと、男が逃げた方を見た。
すると…。
ようか:「っ!?」
ようかは驚愕した。
ボス:「おい、おい。よくも仲間を…。」
そこには、30人ほどの不良がいた。
ようか:「えっ?ど、どういうこと?」
それは、ほんの数分前のことだった。
逃げた不良男は、急いでアジトに連絡して、
仲間を呼んでいたのだった。
不良男C:「残念だったな。あそこで追いかけて、俺を殺さなかった事を後悔しろ。」
ようか:「くっ。」
ようか:(あの時、ちゃんと追っていれば…。)
ようかは、ひどく後悔していた。
ようか:(だけど、シヴァ皇子を守る為にやらなければ!)
ようかは再度自分に鼓舞した。
ようか:「さぁ、かかって来なさい!シヴァ皇子は渡さないわ!」
ボス:「ほぉう。たった1人で、これだけの人数を相手にできると…。おもしろい。
おい!野郎ども!殺ってしまえ!女だからといって、手加減はするな!」
そうボスが言うと、その場にいた不良達が、ようか目掛けて突撃してきた。
不良達:「おぉらぁぁ!!」
ようかは震えていた。
怖いからではない。
これは武者震いだった。
ようか:「シヴァ皇子は、安全な所へ。」
シヴァ:「おい。お前一人で、大丈夫なのか?」
ようかは自信たっぷりで答えた。
ようか:「はい!大丈夫です。これくらいなら5分もあれば!」
シヴァ:「な、なら良い。死ぬなよ。」
そう言って、シヴァはどこかへと消えた。
ようかは、腰に手を伸ばし、鞘を左手に取った。
そして、右手でゆっくりと、鞘から刀を抜いた。
自然と、笑みがこぼれた…。


つづく

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