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〜ギャラクシーガーディアンズ〜




第一章 『出会い』

第四話



蘭花:「うっわー。本当に着いちゃった。」
ミルフィーユと蘭花は、シヴァ皇子をさらった犯人のアジトらしき場所に来ていた。
そのアジトの外観は、ちょっとした洋館だった。
昔は、綺麗だったのかもしれないが、今は完璧廃屋状態の空家となっている。
まさに、不良のアジトにはピッタリだ。
蘭花:「でも、あんたの"運"はすごいわねー。全然迷わずこれたじゃない。」
ミルフィーユ:「エヘヘヘ。」
ミルフィーユと蘭花は、あの後ちゃんと仲直りもして、ここまで来たのだ。
蘭花:「さぁ、乗り込むわよ。準備はいい?ミルフィー。」
ミルフィーユ:「えっ、でも危なくない?フォルテさん達待とうよ。」
蘭花:「大丈夫だって、いざとなれば、アタシが何とかするわよ。」
ミルフィーユ:「でも…」
蘭花:「大丈夫よ。さっ、行くわよ!」
蘭花は、ミルフィーユを無理やり連れて行った。
蘭花が、アジトのドアを蹴り壊して、中に入った。
アジトの中は、まだ昼間だというのに、あまり日の光も入っておらず、暗かった。
蘭花:「さぁ!何処からでもかかってらっしゃい!そして、
シヴァ皇子を返しなさい!!」
静寂……。
蘭花:「あれ?」
予想外のことで、蘭花は唖然とした。
ミルフィーユ:「ねぇ、蘭花。ここって誰もいないみたいだよ。」
そう蘭花に告げた。
蘭花:「これも、あんたの"運"?」
蘭花は思わず、聞いてしまった。
ミルフィーユ:「さぁ?でも、誰もいないんだし、早くシヴァ皇子の手がかりを探そうよ。」
蘭花:「そ、そうね。フォルテさんたちが来る前に、いろいろ探しておきましょう。」
―数分後―
蘭花:「はぁー、はぁー。なんで何にも見つからないのよ。
そして、どーしてこんなに部屋があるのー!」
蘭花は、怒りの叫びをあげる。
ミルフィーユ:「ねぇー、蘭花、何か見つかったー?…はぁー、はぁー。」
ミルフィーユが、蘭花が居る部屋から数えて、12個目の部屋から走って来てから、
そう言った。
蘭花:「たった今、アタシが言ったことが聞こえなかったの?
何も見つかってないわよ!
あんたの"運"もこういう時には発動しないわね。」
蘭花は、ピリピリしていた。
ミルフィーユ:「ごめーん。」
その時、ミルフィーユ達が入ってきた玄関から、
足音と話し声が聞こえてきた。
???:「まぁ、まずは敵がいないか探すか。」
???:「えぇ、そうですわね。」
ちなみにこの上の会話の内容は、蘭花たちには聞こえていない。
蘭花:「ヤバっ!敵が帰ってきちゃった。」
ミルフィーユ:「どうするの?」
蘭花:「倒すに決まってんでしょう。この怒り、あいつらにぶつけてやるわ!
ミルフィーは、ここで待ってなさい!」
ミルフィーユ:「危ないよー。」
ミルフィーユの忠告を聞かずに、蘭花は玄関の方に走っていった。
蘭花:(見つけた!覚悟しなさい。)
そう蘭花が思った瞬間。
銃声。
弾は、蘭花の顔の横すれすれを通り過ぎていった。

フォルテ:「あれは、『策』とは、言えないだろー。」
ミント:「まぁ、いいじゃありませんか。」
フォルテ:「まぁね。でも、あれはなぁ―。」
フォルテは、そのミントが考えた良策の事を、思い出していた。
フォルテ:(ただ、近くの警察に、「ここ最近、不良はいませんか?」って、
聞いただけじゃない。)
ミント:「フォルテさん、何をしていらしゃるのですか?
早く行って、シヴァ皇子を助け出しましょう。」
フォルテ:「あぁ、今行くよ。ちょっと、弾の確認をしてたんだ。」
フォルテ:(ふー、危なかった、どうやら読まれてなかったようだね。)
一応ミントは、必要な時以外は、『テレパス』の能力は遮断しているのだが。
先を歩いているミントが、ふと立ち止まった。
フォルテ:「どうしたんだい?」
追いついて、ミントに問う。
ミント:「いえ、何か急に、嫌な予感がして…。」
フォルテ:「まぁ、気にすることはないよ。いざとなれば…」
フォルテは銃を取り出して、ミントに見せる。
フォルテ:「あたしの"こいつ"で、何とかするよ。」
自信たっぷりで言った。
フォルテ:「よし、行くよ。」
フォルテはミントを促し、アジト内に入る。
その後に、ミントが続く。
アジト内は、静寂に包まれていた。
そして、日の光があまり入っていないせいで、暗い。
ミントは、辺りを見まわした。
ミント:「誰も、いないようですわねぇ。」
フォルテ:「あぁ、妙だねぇ…。」
フォルテ:「まぁ、まずは敵がいないか探すか。」
ミント:「えぇ、そうですわね。」
その時急に、人の気配が、闇の中に現れた。
フォルテは、即座に銃を取り出し、その闇の中の気配に向かって、撃った。
フォルテは、撃った方向を見た。

ミルフィーユ:「い、今の、何の音?!」
ミルフィーユは、謎の音に驚いた。
ミルフィーユ:(あっ、蘭花が…。)
蘭花のことが気になり、彼女が向かった方へ駆け出した。
玄関に近づいた時、ミルフィーユの耳に、人の話し声が聞こえてきた。
その中には、蘭花の声もあった。
ミルフィーユ:(蘭花、無事だったんだ。よかった〜。)
ミルフィーユはホッとし、その話し声に近づいていった。

蘭花:「うわっ!何よ急に!?危ないじゃない!」
蘭花は、銃を撃った誰かに向かって怒鳴った。
???:「あら?その声は…。蘭花さん?」
???:「あー、確かに蘭花の声に似てるなぁ。」
闇の中の人物がいった。
蘭花は、驚いた。
蘭花:(へっ!?どうしてアタシを知ってるの?ってか、この声どこかで…。)
蘭花:「あー、ミントとフォルテさん!?」
蘭花は、また驚いた。
ミント:「ご名答ですわ。蘭花さん。」
フォルテ:「やっぱり、蘭花だったのか。さっきの銃、すまないねぇ。
弾…当たってないかい?」
フォルテは、さっき撃ったのを謝った。
蘭花:「そーですよ、危なかったんですからね。まぁ、仕方ないですけど…。」
そこに、ミルフィーユが現れた。
ミルフィーユ:「蘭花、大丈夫?」
蘭花:「えぇ。大丈夫よ。ミルフィー。」
フォルテ:「おや?ミルフィーもいたのかい。」
ミルフィーユ:「あー!フォルテさん。来てたんですか?」
ミルフィーユは、予想外なことに驚いた。
フォルテ:「あぁ、今来た所だよ。」
ミルフィーユの質問に答える。
ミント:「私(わたくし)も、いますわよ。」
ミントが言う。
ミルフィーユ:「ミントも来てたの。」
ミント:「えぇ。」
こうして、4人は合流した。
フォルテ:「あと来てないのは、ヴァニラとちとせか…。」
フォルテが確認をする。
フォルテ:「よし、ヴァニラとちとせが到着するまで、シヴァ皇子の手がかりを探そう!」
ミルフィーユ:「でも、あたしたち、ついさっきまで探してて、もうヘトヘトなんです。」
蘭花:「そうねぇ。フォルテさん、少し休んでていいですか?」
ミルフィーユと蘭花は疲れていた。
フォルテ:「そうだね。じゃぁ、見張りついでに休んでてくれ。
あたしとミントで探すよ。」
そう言って、フォルテとミントは探しに行った。

蘭花:「それにしても、フォルテさん達より先に着くなんて、
やっぱりあんたの"運"はすごいわねぇ。」
蘭花は改めて、ミルフィーユの"運"に感心した。
ミルフィーユ:「うん、ありがと。それより、さっきの弾、よく当たらなかったね。」
さっきのことを言った。
蘭花:「そうねぇ。占いのおかげかも。」
ミルフィーユ:「へぇ〜。そうだったんだ〜。」
とミルフィーユ。
蘭花は、口ではそう言ったが、内心では。
蘭花:(でも、これもあんたの"運"のおかげかもしれないわね。)
こう思っていた。
そう思いつつ、蘭花は、ミルフィーユの方を見た。
ミルフィーユは、自分達が入ってきた玄関の方を見ていた。
玄関の向こうには、広い殺風景の広場がある。
そこに突然、人影が現れた。
ミルフィーユ:「あれ?」
蘭花:「ん?どうしたの、ミルフィー。」
蘭花は、ミルフィーユの方を見る。
ミルフィーユは、人影を指差して、蘭花に言った。
ミルフィーユ:「あの人影って、誰だろう?ヴァニラ達かな?」
蘭花は、そう言われて、ミルフィーユが指差した方向を見た。
そこには確かに、人影が2つあった。
蘭花:「うーん。確かに、片方は小さな影だし、もう片方は大きいから、
ヴァニラとちとせの確率が高いけど…。敵かもしれないわ。」
そう言って、身を構える。
蘭花:「ミルフィーは、一応、どこかに隠れてなさい。」
ミルフィーユ:「うん、蘭花1人で、大丈夫だよね?」
蘭花を心配し、問う。
蘭花:「あったり前じゃない。心配しないで。」
蘭花は、余裕の笑みを浮かべながら、親友に答えた。
そして、人影の体全体がはっきりと見えるようになった。
その顔は―。

フォルテ:「ミント。そっちは何かあったかい?」
フォルテは壁越しに、隣の部屋のミントに問い掛ける。
ミント:「いいえ、何もありませんわ。そちらはいかがです?」
ミントは壁越しで、隣の部屋のフォルテに問い掛けた。
フォルテ:「こっちも何もないよ。」
フォルテは再度、壁越しに、隣の部屋のミントに問い掛けた。
ミント:「そちらもですか…。いったん戻りましょうか?
ミルフィーさんたちも心配ですし。」
ミントは再度、壁越しで、隣の部屋のフォルテに問い掛けた。
フォルテ:「そうだね。」
そう言ってフォルテは、部屋から出る。
と同時に、ミントも部屋から出た。
2人は、玄関に向かった。

2人が、玄関に着くと、ヴァニラとちとせが到着していた。
フォルテ:「よぉ。ヴァニラ、ちとせ。」
ちとせ:「あっ、フォルテ先輩、ミント先輩。」
ちとせが、フォルテ達に気付き言った。
フォルテ:「たった今、来たとこなのかい?」
ヴァニラ:「はい、そうです…。」
その質問にヴァニラが答える。
フォルテ:「で、ミルフィー、蘭花。
ヴァニラとちとせが来た以外に、何か異常はなかったかい?」
見張りをしていた2人に聞く。
ミルフィーユ:「はい、特に異常はありませんでした。」
それに、ミルフィーユが答えた。
フォルテ:「そうか。それにしても、この館は広いねぇ。
ミルフィーと蘭花が、あれだけ疲れたわけが分かったよ。」
フォルテが言った。
蘭花:「でしょう?本当に疲れましたよ。」
蘭花が言った。
ミント:「それでは、この後どうしましょうか?皆さんで探すにしても、
見張り役を外すわけにはいきませんし…。」
フォルテを見ながら、他のメンバーに言った。
フォルテ:「うーん、そうだねぇ。あっ、ちょっと待ってな。」
何かを思いついたように、闇の中へ走っていった。
数秒後に、フォルテが帰ってきた。
その両手には、数個の空き缶と糸があった。
それを見た蘭花が言った。
蘭花:「なんですか、それ?」
フォルテ:「あぁ、これかい?これは、こう使うのよ。」
そう言うと、フォルテは玄関に向かって何かをし始めた。
フォルテ:「よし、できた。」
そう言うと、それをみんなに見せた。
それは、玄関の端と端の間に、糸を通させ、その糸に空き缶をつけた物だった。
それを見たメンバーは、「それは何?」という表情で、フォルテを見た。
フォルテ:「見て分からないかい?これは…。」
そう言うとフォルテは、玄関に向かって歩き出した。
「カラン、カラン…」
その静寂のなかに、その音は屋敷全体に響いた。
ミルフィーユ以外:「なるほどー。」
ミルフィーユ:「えっ。な、何、みんなわかったの?」
ミルフィーユは、それが何なのか分からなかったのだ。
蘭花:「はぁー。あんた分からなかったの?これは、
誰かが来た時に、知らないでこれに当たれば、
音が鳴って、誰かが来たって、分かるでしょ?
そのための物。そうですよね、フォルテさん。」
ミルフィーユに説明し、フォルテを見る。
フォルテ:「あぁ、そのとおりだよ、蘭花。
これで、見張り役の心配はなくなった。
これでいいだろ、ミント?」
ミントを見る。
ミント:「ですが、そう簡単に引っかからないと思いますが…。」
フォルテ:「大丈夫だって、心配しなさんな。
こういうのは案外、わからないもんなんだよ。」
そう言って、メンバーを見渡す。
フォルテ:「それじゃぁ、シヴァ皇子の手がかりを探すよ。
メンバーは今までと一緒。
この音が鳴ったら、すぐに戦闘態勢に入ってくれ。」
ミルフィーユ,蘭花組を見て。
フォルテ:「蘭花、ミルフィーを頼んだよ。」
ランファ:「はい、任せて下さい!」
ヴァニラ,ちとせ組を見て。
フォルテ:「ここは、大丈夫かねぇ。」
ちとせ:「はい!ヴァニラ先輩に、弓矢を創ってもらえば。」
フォルテ:「そうかい。それじゃ、ちとせ、ヴァニラを任せたよ。」
ちとせ:「了解しました。」
フォルテ:「よし。それじゃ、解散!
何か見つかったら、あたしに連絡してくれ。」
フォルテの言葉に、2組は散っていった。
ミント:「フォルテさん、任せましたわよ。」
フォルテ:「あぁ、いざって時には、ね。それじゃ行くよ。」
ミント,フォルテ組も散っていった。

数分後、早速フォルテに連絡があった。
ヴァニラ:「フォルテさん、鍵のかかっている扉を発見しました。」
フォルテ:「そうか、分かった。今そっちに行くよ。」
ヴァニラ:「ミルフィーさん達にも、連絡しておきますか?」
フォルテ:「あぁ、頼むよ。」
ヴァニラ:「了解…。」
そう言って、通信は切れた。
フォルテ:(鍵のかかっている扉ねぇ。
他の扉は、鍵はかかってなかったから。なんか、妙だねぇ。)
フォルテ:「ミント!ヴァニラが鍵のかかっている扉を見つけたらしい。
あたしらも行くよ!」
隣の部屋にいるミントに言った。
ミント:「はい、分かりましたわ。」
そう言って部屋を出たときには、フォルテの姿はなかった。
ミント:(まったく、早いですわね。さ、私も行きますか。)
ミントは、フォルテを追いだした。

ミルフィーユ達に、ヴァニラから連絡が入った。
ミルフィーユ:「うん、わかった。ありがとね。」
そう言って、通信を切った。
蘭花:「何だって?」
ミルフィーユに尋ねる。
ミルフィーユ:「あのね。ヴァニラが鍵のかかっている扉を見つけたんだって。」
蘭花:「なら、私たちも行くわよ。…って、あんた何してるの?」
ミルフィーユは、机の下に入って、何かをしていた。
ミルフィーユ:「これ。これを見つけたの。」
ミルフィーユは、机の中から顔を出し、蘭花に見せた。
蘭花:「鍵?どうでもいいじゃない。
…あっ、もしかしてあんた…。」
ミルフィーユ:「うん、ヴァニラが言ってた扉の鍵かなって。」
蘭花:「まさか。でも、あんたの場合には、強運ってのがあるしね。
それじゃ、それ持って、さっさと行くわよ!」
蘭花は、駆けだした。
ミルフィーユ:「あぁ、待って〜。」
そう言って、蘭花を追いかけた。

その扉の前に全員が揃った。
フォルテ:「さて、この鍵は、どちらに転ぶか…。」
そう言って、ミルフィーユから受け取った鍵を、鍵穴に差し込み、ひねる。
「カチャッ」
フォルテ:「開いた…。」
ミント:「すごいですわ。」
ちとせ:「さすが、ミルフィー先輩の強運ですね。」
ヴァニラ:「さすがです。」
蘭花:「今日のあんた、絶好調じゃない。」
と、それぞれミルフィーユを誉める。
ミルフィーユ:「えへへへ。」
照れ笑いのミルフィーユ。
フォルテ:「さっ、入るよ!」
そう言って、扉を開ける。
そこには、数台の机が円を囲み、その奥にはホワイトボードが立っていた。
まるで、会議室のようだった。
ミント:「何か、会議をしていたようですわね。」
フォルテ:「あぁ。多分、シヴァ皇子の事だろう。」
ミント:「えぇ。」
ミントがうなずく。
フォルテ:「よし。各自、手がかりを探してくれ。」
メンバーに言う。
他のメンバー:「了解!」
エンジェル隊は、手がかりを探し始めた。

―数分後―
金庫が発見された。
フォルテは、弾が空になるまで銃を放った。
金庫の扉が破壊された。
フォルテ:「ん?」
フォルテが、中から書類のような物を取り出す。
その書類には、『シヴァ皇子誘拐計画書』と書かれていた。
フォルテ:「こ、これは…。」
他のエンジェル隊も驚く。
フォルテは、ざっと書類に目を通す。
フォルテ:「!!」
他のエンジェル隊に言った。
フォルテ:「このままだと、シヴァ皇子の命が危ない!!」
フォルテは、駆けだした。
ミント:「何が書かれていたんですの?」
ミントが、他の者を代表して尋ねる。
フォルテは、走りながら言った。
フォルテ:「それは後!とにかく、あたしについておいで!!」
それを聞いた他のメンバーは、フォルテについていった。

エンジェル隊:(シヴァ皇子…。無事でいてください。)
エンジェル隊の思いは同じだった。


つづく

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