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〜ギャラクシーガーディアンズ〜




第一章 『出会い』

最終話



爆発の銃声があたりに響いた。
ガイルが撃った弾が、ようか目掛けて突っ込んできた。
それをようかは、瞬時に避ける。
ガイル:「まだ、まだぁ!!」
すぐに2発目が、ようかの目の前に迫っていた。
ようか:「キャッ!」
かろうじて避けたが、その弾の爆風で飛ばされた。
ようか:(あれだけ連続で撃って来られたら、近づく隙がないじゃない…。)
ガイルは休むことなく連射する。
そのたびに、周りが崩壊していく。
不良達は、巻き込まれないように逃げ回っている。
ガイル:「ガッハッハッハッ!どうした女!その程度か?!」
ガイルは吠える。
ようかは、弾を避けながら、倒す術を必死に考えていた。
ようか:(そうだわ。あれは『銃』。銃には弾切れがある。弾が無くなった時に…。
それまで避けきれば、私の勝ちね。)
ようかは、倒す術を思いついた。
銃口からは、絶えず弾が飛び出している。
ようかはそれを、必死で全て避ける。
その攻防が数分間続いた。
ようか:(そろそろ、弾が弾が切れる頃じゃないかしら?)
ようかは思った。
そして遂に、ガイルの銃が、火を噴くのをやめた。
ようかの勘は当たった。
ガイル:「ん?弾切れか…。おい!弾を取って来い!!」
近くのにいる銃係に命令する。
ようか:(今のうちに!)
ようかは、ガイル目掛けて突撃する。
ようか:「ていっ!」
ようかは高く飛んだ。
そして、落下と同時に刀に全体重を乗せながら、刀を振りおろした。
ようか:「これで終わりよ!天誅!!」
その刹那…。
さっきまでのものとは違う銃声が。
それが辺りに響いた。
その銃声の直後、ようかの左足に激痛が走った。
ようかは空中から落ち、思わずひざまずく。
ようか:「くっ!…。」
ようか:(左足が…。)
ガイル:「ガッハッハッハッ!バカめ!」
ガイルは、ようかを見下ろす。
ようかは、ガイルを見た。
その左手には、もう1つの拳銃が握られていた。
ようか:(さっきはなかったはず…。隠し持っていたのね…。)
ようかは、もう1つ銃があるとは思わなかったのである。
不良D(銃係):「た、弾を持ってきました。」
この銃係の不良は、いつも銃と弾を持ち歩いている。
ガイル:「おぅ。」
ガイルは、弾を受け取り、隠し銃を収め、
自慢の銃に弾丸を込めながら言った。
ガイル:「さぁ、トドメだ!…と言いたいところだが、
ここは、じわじわと痛めつけて殺すか…。」
不良達を見る。
ガイル:「おい!野郎ども!殺っちまえ!!」
ガイルは、仲間に言った。
しかし、不良達は動かない。
ようかの強さに怯えているからだ。
ガイル:「おいおい、どうした?相手は女だぜ。
しかも、足をケガしてるんだぜ?」
そう言っても動かない。
ガイル:「まったく。こうでもしなきゃ動かないのか?」
そう言うと、ガイルは、弾のつめ終わった銃を地面に置き、
隠し銃を取り出した。
そして、その銃を味方に標準をあわせた。
ようか:(な、何をするつもりなの?まさか…。)
乱射。
ガイルは何のためらいもなく、味方を撃ったのだ。
不良達から悲鳴や叫び声が聞こえる。
不良達は、逃げる暇もなく撃たれた。
ガイル:「ふん!役立たずはこうなるのよ!
もういい、この女はオレが殺る!!」
そう言うと、ようかの方へ向きなおった。
ようかは、激しい痛みに耐えながらも、一部始終を見ていた。
ようか:(味方を殺すなんて…。)
ようかは、痛みを我慢しつつ、立ち上がった。
ガイル:「ん?まだ立てるのか?何だその目は?何か言いたいのか?」
ようかが立ち上がる様子を見たガイルが言った。
ようかの体に、烈火のような激しい怒りが込み上がってきた。
そして、ガイルをにらみ、こう一喝した。
ようか:「あなたは、悪の塊よ!!正義の名のもとに、あなたを倒します!!!」
それを聞いたガイルは。
ガイル:「ハッ!言ってくれるじゃねぇか!だが、銃相手に
刀でこのオレを倒せると思ってるのか!?笑わせるわ!死ねぇい!」
ようか目掛け一発。
ようか:「はぁー、たぁぁっー!」
ようかは、飛んできた弾を真っ二つに、斬り捨てた。
弾が爆発する。
ようかは、爆風に耐える。
ガイル:「ば、バカな!刀ごときで、この鉄の塊の弾丸をぶった斬るだと!?
だが、そう簡単に続くものか!!」
ガイルは驚いたが、すぐに攻撃を再開した。
連射。
爆発の煙の中から、刀で斬る音が聞こえてくる。
ガイル:「ま、まさか、全部斬ってるんじゃ…。」
ガイルは不安になった。
ようか:「そのまさかよ。」
煙の中から声が聞こえてきた。
その声と同時に、何かを斬った音が聞こえた。
ガイル:「ん?手に重さがなくなったような…。」
そう思い自分の手に視線を移した。
その瞬間、ガイルは言葉をなくした。
両手が斬られていたのだ。
煙が去る。
しかしそこには、ようかの姿はなかった。
ガイル:「ど、どこに行った、女ぁー!」
ガイルが吠える。
ようか:「ここよ!」
ようかは空中にいた。
ようか:「自分がしてきた愚かな行為を、地獄で後悔しなさい!!
天誅!!!」
ようかは、刀に全体重をかけ、ガイルの身体を一刀両断した。

ガイルは、声がした方を見た。
そこには刀があった。
ガイル:「ぐぅぉあはぁぁぁっ!!」
斬る音と同時に、ガイルの断末魔の叫びが聞こえた。

ようか:(ふぅ…。遂に倒したわ。…さて。)
ようかは、不良達を見た。
その行為だけで、不良達は一目散に逃げ出した。
それを見たようかは。
ようか:(わかってるじゃない。もう、こんなことしちゃだめよ。)
と、心の中で言った。
その時、忘れていた左足の痛みが、ようかの身体を襲った。
ようか:「うっ…。」
バランスを崩し、その場に崩れ落ちる。
ようか:「シ、シヴァ皇子は…?」
痛みに耐えながら、シヴァ皇子を必死に目で捜す。
不意に後ろの方から、声が聞こえた。
シヴァ:「おい!大丈夫か?」
その声は、シヴァ皇子だった。
その姿を見たようかは。
ようか:「は、はい。大丈夫です…。シヴァ皇子こそ、ご無事で…。」
苦痛に顔がゆがむ。
ジヴァ:「私のことはよい。それより、お前の手当てをせねば。」
ようかの左足の傷を見たシヴァ皇子は言った。
シヴァ:(しかし、どこで手当てをするか…。艦まで運ぶのも、私1人では無理だろう…。)
その時、どこかからか声が聞こえた。
???:「おーい!シヴァ皇子ー!ご無事ですかー?」
2人は、声がした方向を見た。
その声の主は、エンジェル隊の6人だった。
6人は、シヴァ皇子のもとにやってきた。
フォルテ:「シヴァ皇子、よくぞご無事で。…ん?」
フォルテは、シヴァ皇子の隣にいる、血まみれのようかに気が付いた。
そのほとんどの血は、返り血。残りは、左足から流れている血だった。
ヴァニラもそれに気付き、ケガの手当てをしようとする。
ヴァニラ:「ケガの手当てを…。」
ヴァニラは、ようかに近づき…。
ヴァニラ:「…ナノマシン…。」
そうヴァニラが言うと、肩に乗っていた小動物が光り、
ようかの体か一瞬、緑色の優しい光に包まれる。
ようか:「あっ、足の傷が…。」
ようかは驚いた。
そしてすぐに、謝辞を言った。
ようか:「あの、ありがとう。」
ヴァニラに礼を述べる。
ヴァニラ:「…いえ、当然の事です…。」
フォルテ:「この彼女は?」
シヴァ皇子に問う。
シヴァ:「あぁ、この者は、私を不良どもから救ってくれた、命の恩人だ。」
そう言って、ようかを見る。
それを聞いたフォルテは。
フォルテ:「シヴァ皇子を救っていただき、ありがとうございました。」
フォルテはようかに向かって、礼をする。
それに続き、他のメンバーも礼をする。
ようか:「い、いえ。大した事してないですよ。
人間として、当然のことをやっただけです。」
ようかは謙遜した。
シヴァ:「そういえば、まだおぬしの名を聞いていなかったな。なんと申す?」
ようかに尋ねる。
ようか:「はい、そうでしたね。申し遅れました。
私は、『紫劉 ようか』と申します。」
刃についている血をぬぐい、鞘に収め、シヴァ皇子に一礼する。
シヴァ:「それでは、紫劉ようか。そなたに頼みたいことがある。」
シヴァ皇子はようかに向きなおって言った。
ようか:「……。」
ようかは、シヴァ皇子を見て、続きを待つ。
シヴァ:「そなたに、私の親衛隊に入ってもらいたい。」
シヴァ皇子は、ようかに言った。
それを聞いたようかは。
ようか:「えっ!?」
驚いた。
エンジェル隊も。
フォルテ:「本気ですか?シヴァ皇子。」
とフォルテ。
他のメンバーも、驚きは隠せないようである。
シヴァ:「あぁ、本気だ。どうだ、紫劉?」
そう言われてようかは。
ようか:「そ、そんな急に言われましても…。」
シヴァ:「確かにそうだな。ならば、明日のこの時間、この場所で、お前の返事を待つ。」
ようか:「えっ、でも時間なんて…。」
ようかは、時計をはめていなかったのである。
他の7人もそうだった。
ヴァニラ:「…ナノマシン…。」
ヴァニラは、ナノマシンで時計を創った。
フォルテ:「さすがだねぇ、ヴァニラ。で、今の時間は?」
ヴァニラに尋ねる。
ヴァニラは、時間を言った。
シヴァ:「そうか。聞いてのとおりだ、よい返事を待っているぞ。」
そう言って、シヴァ皇子たちは帰っていった。
ようかは、1人残された。
ようか:(シヴァ皇子の親衛隊なんて…。どうしよう…。)
ようかは悩んでいた。
ようか:「とりあえず、帰ろう。」
ようかは、つぶやいた。

自宅に帰ったようかは、さっそく、今日起こった出来事を、両親に話した。
それを聞いたようまは。
ようま:「ほう、あのガイルを倒したか…。で、首は持ってきたのか?」
ようか:「えっ?首?首なんか持って帰ってきてないわよ。」
ようま:「バカか。その首さえあれば、賞金が手に入ったものを…。」
ガイルには、賞金がかかっていたのだ。
それを聞いた春香は。
春香:「残念ねぇ。でも、悪を1つ潰したんじゃない。それだけで、良しとしましょ。」
と、ようまに言った。
ようま:「そうだな。でも、惜しいなぁ…。」
それを聞いたようかは。
ようか:「もし、知っていたとしても、首はもって来れなかったわ。」
春香:「どうして?」
春香が聞く。
ようか:「だって、縦に一刀両断で斬って倒したから。」
とようかが言う。
ようま:「はぁ〜。ダメだな。よし、武者修行のメニューに
首と胴体で分ける斬り方を加えるか。」
ようまが言った。
ようか:「あのぉ…その武者修行のことなんだけど…。」
ようかは、シヴァ皇子の親衛隊の件を、2人に話した。
さっきは、言ってなかったのである。
そのことを聞いた2人は。
ようま:「ふーん。そうか。で、お前はどうしたいんだ?」
ようかに尋ねる。
春香:「私達は、何も言わないわ。あなたの好きな方を選びなさい。」
ようかに春香は、そう言った。
ようか:「私は…。」
そこで言葉が止まった。
ようか:(私は、どっちを選べばいいの?
刀とかも極めたいけど、悪を倒し、正義を守りたい。
私は、どうすればいいの?)
ようかは、自分に問い掛ける。
ようか:「私は…。ごめんなさい、父さん、母さん。
私、親衛隊に入る。」
ようかは、決断した。
その答えを聞いた2人は。
ようま:「そうか、なら頑張ってこい。」
春香:「やれるだけの事はやってきなさい。」
2人は、娘に言った。

―次の日―
ようか:「じゃぁ、父さん、母さん。
いってきます!」
ようかは、旅立っていった。
先の見えぬ、希望の未来へ。

春香:「ようま、あの娘。大丈夫かしら?」
春香は、不安だった。
ようま:「なーに、大丈夫さ。オレたちの娘(子ども)なんだからな。」
そう言って、タバコを口にくわえ、火をつけた。
ようま:(さぁ、いってこい。ようか。)
ようまは心の中で、娘に言った。
ようかのうしろ姿を見ながら。

タクト:「本当に、来るんですかね?」
シヴァ:「絶対に来る。もう少し待て。」
タクト:「はい、わかりました。」
シヴァ皇子は、タクトを連れ、約束の場所へ来ていた。
その時、声が聞こえてきた。
その声の方を、2人が見ると、
そこには、紫劉ようかの姿があった。
ようか:「シヴァ皇子!親衛隊の件、承らせていただきます!」
ようかは、シヴァ皇子に向かって言った。


第一章『出会い』

第二章へつづく

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