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〜ギャラクシーガーディアンズ〜




第二章 『始まり』

第二話



ようかは、シヴァ皇子,タクトについていき、エルシオール内に入った。
ようか:(うわぁ。ひ、広い…。)
ようかは、思った。
???:「お帰りなさいませ。シヴァ皇子。」
観賞にふけっていると、不意にようかがまだ聞いた事のない声が、耳に入ってきた。
ようかは、その声の方を見た。
そこには、ようかはまだ知らないが、シヴァ皇子の侍女が立っていた。
シヴァ:「あぁ。」
と、応対する。
そして他に、エンジェル隊の姿もあった。
ようかは、エンジェル隊に向かって、会釈をする。
向こうもそれに気付いたのか、反応する。
そして、エンジェル隊とは別に少し武装した人が数人いた。
シヴァ:「おい、風摩。」
と、シヴァは、その武装した男達の方を向き、誰かを呼んだ。
風摩:「はい!」
と元気の良い返事をし、その男達の後ろから出てきて、シヴァ皇子に近寄る。
シヴァ:「紫劉。この者が、今の私の親衛隊隊長だ。」
と、ようかに言った。
ようか:(えっ?)
ようかは、困惑した。
ようか:(この若い娘が!?見た感じだと、「隊長」って感じじゃないし…。それにこんな軽装で、周りの人みたいに武装してないじゃない。
なんでこんな娘が…?)
ようかが驚くのは無理もない。
そう、その風摩と呼ばれた者は、まだ17,8くらいの娘だったのだ。
制服を着ていなく、軽装。髪型はポニーテール、明るいオレンジ色の髪をしていた。
風摩:(ふーん。この人が、『紫劉 ようか』ねぇ。中々強そうじゃん。
"あれ"の時が楽しみだなぁ…。)
風摩:「初めまして!アタシは、『風摩 要』。」
と、ようかに握手を求める。
ようかは、その手を握り、自己紹介をする。
ようか:「初めまして。私は『紫劉 ようか』と申します。
今後とも、よろしくお願いします。」
要:「今後とも、ね。それは、どうなるか分からないけどね。」
ようか:「えっ?そ、それは、どういう…。」
ようかは尋ねる。
要:「ふふふ…。」
要は、意味深な笑みで答えた。
ようか:(一体、どういう意味なんだろう…?)
ようかは、疑問に思った。
しかし、また聞いても同じだと思ったので、聞くのをやめた。
要:「あぁ!そうだ!オセ!」
と、誰かを呼ぶ。
その声に反応し、要と同じく、武装した男達の後ろから出てくる。
そのオセと呼ばれた男は、かなりの長身で、屈強な体つきだ。
こちらは、要とは違い、きちんと武装している。
要:「オセも一応、挨拶しておいて。副隊長なんだし。」
オセと呼ばれた男は頷いた。
オセ:「自分は、親衛隊の副隊長を務める、『オセ・ハーバードランド』だ。」
と軽い自己紹介をする。
ようかは、「よろしくお願いいたします」と、一礼する。
シヴァ:「ふむ、挨拶は終わったようだな。」
シヴァが言う。
要:「はい。」
シヴァ:「私は、もう行く。風摩、後は任せた。」
要:「了解です!お任せください。シヴァ皇子。」
それを聞いたシヴァ皇子は、侍女に付き添われて去っていった。
ようかがふと周りに目をやると、既にエンジェル隊の姿はなく、
あの武装した男達もいなくなっていた。
オセ:「要、俺も、もう行っていいか?」
要に言う。
要:「あぁ、うん。いいよ。他の連中の事、よろしくね。」
オセ:「あぁ。」
と頷き、去って行こうとしたが、
要:「あっ。ちょっと待って、オセ。」
要がオセを呼び止める。
オセ:「何だ?」
と、振り向く。
要:「ようかの荷物を、ついでに彼女の部屋まで、持って行ってくれる?」
ようか:「えっ?」
それを聞いたようかは戸惑う。
オセ:「俺が…か?」
要:「そうよ。…何よ、その嫌そうな顔はー?」
要は少し怒った。
オセ:「ふん、仕方がないな…。ほら、よこせ。」
ようかの荷物を、要求する。
ようか:「い、いえ。自分で持っていきますので…。」
ようかは、それを断る。
要:「ダ〜メ。これは、隊長命令。従ってくださーい。」
笑いながら言う。
ようかは少々困惑したが、素直に従う事にした。
ようか:「それなら、仕方がないですね。ハーバードランド副隊長、
よろしくお願いします。」
そう言い、オセに一礼する。
そして、荷物を渡した。
オセはそれを受け取り、要に言った。
オセ:「要。これは、あの部屋でいいのか?」
要に尋ねる。
要:「うん、そうね。お願い。」
オセ:「わかった。じゃぁ、俺は行くぞ。」
要:「ありがとね。じゃぁ、また後で。」
ようかは、オセの背中に向かって、一礼した。
オセ:(まったく…、いつもの事ながら、ワガママな奴だな…)
オセは去っていった。
そして。
ようか:「あ、あのー…。」
要:「そうね。じゃっ、行きますか!」
要が、ようかに言う。
ようか:「えっ?どこに?」
要に問う。
要:「どこに?って、エルシオールの案内だよ。ここ、広いから。
それとも、あたしの案内じゃ、不安?」
要は、悲しそうな顔をした。
ようか:「そ、そんなことないです。ちょっとまだ緊張してるみたいで。
案内、よろしくお願いします。風摩隊長。」
ようかは、弁解した。
要:「そ、そう?なら、よかったぁ。それじゃ、行こう!」
要はそう言って、歩き出す。
しかし、その足をピタッと止めて、ようかのほうに振り返る。
そして。
要:「ようか。『隊長』はいらないわ。『要』で、呼び捨てでいいよ。それと、敬語じゃなくて、普通の喋り方でいいから。友達同士みたいに。これは、命令。」
ようかに笑顔で言った。
ようか:「えっ?こ、これも?」
要:「そっ。さっ、行くよ!」
要は、走り出した。
ようか:(ふぅ…。なんかおかしな娘。でも、これが、風摩隊長…じゃなかった、
要のやり方なら、仕方がないか。
でも、ちょっと違和感があるんだけど…。それに、なんか照れる…。)
しかし、ようかは吹っ切れた。
ようか:「なら、命令どおりに。」
ようか:「要ー、ちょっと待ってー。」
少し照れながらようかが、要に向かって大声で言う。
要:「ほらほら〜、早く来ないと、おいてっちゃうよ〜!」
数十秒後。
ようかは、要に追いついた。
要:「さすが、速いねぇ。そんな重いものを腰に差してても。」
要が、ようかの刀を見ながら言う。
ようか:「あぁ、これ?伊達に、鍛えてないから。」
刀を触りながら言う。
要:「いやいや、鍛えてても、あそこまで速くないって。」
ようか:「そ、う?」
要:「そうそう。絶対、天性だよ。その能力は。…っと、
喋りながら歩いているうちに、通り過ぎる所だった。
ここが―――。」
ようか:(でも、要ほどじゃぁ、ないと思うんだけど…。)
ようかは、素直に思った。
そうして、エルシオール内の案内が、始まった。

―数十分後―
他の場所は大体見終わり、次の場所は。
要:「ここが、『ティーラウンジ』。エンジェル隊がよく来ている場所だよ。」
と、ようかに説明した。
「へぇ〜」と思いながら、ようかは店内を覗いてみた。
するとそこには、エンジェル隊がいた。
要もそれに気付いたようだ。
要:「お〜い!」
と、早速、要はエンジェル隊に声をかける。
その声に向こうも反応した。
フォルテ:「おぉ、要かぁ。おっ、そっちは…」
ようか:「改めまして、『紫劉 ようか』と申します。
この度、シヴァ皇子の親衛隊に属する事になりました。
今後とも、よろしくお願いいたします。」
と、皆に軽い自己紹介をする。
フォルテ:「それじゃぁ、あたしらも、軽く自己紹介といこうかね。」
と、フォルテが言う。そして、
フォルテ:「あたしは、フォルテ・シュトーレン。このエンジェル隊の隊長だよ。」
次に、フォルテの横に座っていた蘭花が、自己紹介をする
蘭花:「アタシは、蘭花・フランボワーズよ。よろしくね。」
そして横のミルフィーが。
ミルフィー:「私は、ミルフィーユ・桜葉。気軽に、『ミルフィー』って呼んでね。」
そしてまたその横のミントが。
ミント:「ミント・ブラマンシュと申します。今後とも、よろしくお願いいたしますわ。」
その横のヴァニラが。
ヴァニラ:「ヴァニラ・H(アッシュ)です…。よろしくお願いいたします…。」
そして最後に、横のちとせが。
ちとせ:「私は、烏丸ちとせと申します。よろしくお願いいたします。」
と、全員の自己紹介が終わった。
ようか:「あのエンジェル隊の方々と、こうして会えるなんて、夢のようです。」
要:「ははは。っと、ホントは、ゆっくり皆とお茶でもしたいんだけど、
案内の続きがあるから、またね。」
要は、エンジェル隊に向かって手を振り、ティーラウンジから出ようとする。
ようかは、彼女達に軽く礼をして、顔を上げると。
ようか:「今度、機会がありましたら、是非、お茶してください。」
と、彼女達に向かって言うと、ティーラウンジの外で待っている要の所へ行く。
ティーラウンジの中から、その返答が返ってくる。
フォルテ:「あぁ。そのときを楽しみにしてるよ。」
とフォルテ。他のメンバーも、似たようなことを言った。
要:「さてと。次は…」
要の案内は、まだ続いた。

2人は、ようかの部屋の前に来ていた。
ここが、最後の案内場所だ。
要:「はい。ここが、ようかの部屋だよ。」
と、隣りにいるようかに説明する。
2人は中に入る。
部屋の中は、中々広く、住みやすそうな部屋だった。
先ほど、オセが運んだ荷物類が置いてあった。
要:「一応、中身確認しておいてね。あと今日のところは、
もう何も無いから、自由にしてていいよ。それじゃっ。」
と言うと、部屋から出て行き、どこかへ去って行った。
ドアは自動的に閉まる。
ようか:「ふぅ…、疲れたなぁ。」
腰から刀を抜き、ベットの横に立てかける。
そして、そのままベッドへ倒れる。それに背中を預けて。
何も無い空に視線を泳がせながら、物思いにふけっていた。
そうこうしているうちに、眠気がようかを襲ってきた。
ようか:(慣れない事ばかりで、疲れたのかなぁ。荷物の整理しなきゃいけないけど、
起きてからにしよう…)
そのままようかは、ベッドの上で眠った。

ようか:「ん、ん…」
ようかの視界に、見慣れぬ天井が入ってくる。
ようか:「あっあれ?ここ、どこだっけ…?」
と、数秒考えると、すぐに答えは見つかった。
ようか:(そ、そっか。ここは、私の部屋だったんだ…。)
「そうだ、そうだ」と、1人で頷く。
周りに視線を動かすと、1つのアタッシュケースと少し大きめなバッグがあった。
そして、刀…。
ようかは、鞘を持ち、その紺と黒が混じりあう
長い身から、美しい白銀の刃を抜き出す…。
ようかは、その刃を、顔の前に持ってゆき、みつめる。
ようか:(これからも、よろしく頼むよ。)
と、それに心の中で言う。
素早い動作で、刃を鞘に収め、そして、
瞬時に抜刀術の構えを取り、
目にも止まらぬ速さで、鞘から刃を抜く。
刹那。
空は一瞬裂ける…。
そして、何事も無かったかのように、また漂い始める。
ようか:「ふぅ…。」
鞘に刃を収め、刀をまた、ベッドの横に立てかける。
ようかは視線をまた荷物の方に移し、
ようか:「さて、整理しますか。」
と、荷物の整理をし始める。
―数十分後―
ようか:「ふぅ…、終わったぁ。」
思わずその場に、ごろんと寝転がる。
やがて、ふと立ち上がる。
空腹を覚えたのだった。
ようか:(要に教えてもらった食堂にでも、行ってみよう。)
と、部屋を出ようとする。
その前に、刀を手にとり、腰にさす。
ようか:(やっぱ、"これ"がないとね。)
刀を触りながら、心の中で呟く。
そして、ドアに近づいたところ…。
???:「ようか〜。一緒に、ゴハン食べにいこ〜。」
と、声がする。
ようか:「この声は…。」


つづく

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