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〜another stories〜




シアン=メシアヌス篇

第弐話



話は少しさかのぼり、シアンが部屋で大暴れをし始める前のこと…。
四天王は、先に広場にて大暴れを開始しようとしていた。
広場には、ものすごい数の武装した兵たちが。
アレル:「よくもまぁ、俺達のためにこれだけ集まったもんだぁ。」
と、呆れた風に言う。
イーア:「それだけ俺らを完全に抹消したいんだろう…。」
そう言いながら、自慢のショットガンを背中のホルスターから取り出す。
弾丸を確認しつつ、皆に指示を出す。
イーア:「見てのとおり、これだけの人数だ。
俺らの力を合わせ、一気に大将を倒すのがもっともだと思うが…。」
「どうだ?」という顔で、皆を見渡す。
ロイ:「異議あり!」
大声で言った。
ロイ:「せっかくこんなに敵さんが集まってくれたんだ。
全然暴れずに「ハイ終わり」ってのはゴメンだな!」
それを聞いたイーアは。
イーア:「フッ、そう言うと思ったよ。そうだな。じゃぁそれでいくか!」
と皆を見渡す。
どうやら誰も反論する気はないようだ。
イーア:「皆、準備はいいか?」
と愚問と解りつつも聞いた。
ロイ:「もちろんだぜ!」
アレル:「やってやるよ…。」
ポカフ:「準備万端なんだな!」
それぞれ応える。
イーアは口元に笑みを浮かべ、皆に言った。
イーア:「それじゃっ、思う存分暴れて来い!だが…」
一瞬にして真顔になる。
イーア:「死ぬなよ…。」
それを聞いたロイが、他のやつらの代弁をする。
ロイ:「ったりめぇじゃねぇか!」
元気よく答えた。
そしてロイ達は、敵陣に突っ込んでいった。
イーア:「さて、俺も行くか…。んっ?」
一歩足を踏み出した瞬間、ふと、悪い予感がよぎった…。
イーア:(思い込みすぎ…だな…。)
そうして、イーアも敵陣へと歩み出した。

さて、一番槍だったロイは。
ロイ:「オラオラオラ!!ガンガンかかってこいよ!!」
通常の大きさより3割ほど増したナイフを振り回しながら、敵陣のど真ん中で暴れていた。
敵が放ってくる弾なんてものは、まったく恐れていない。
弾をナイフで跳ね返し、突撃して斬る。
上手く避け、突っ込んで斬る。
そういう状態が、数分続いた。
そうしているロイの耳に、大音量のロックが聴こえてきた。
ロイ:「あっはっはっは!あいつも始めやがったか!
あいつが来る前に片付けといてやろぉかな!」
攻撃の質が格段に上がった。

ロイに少し遅れ、アレルが敵陣に突っ込んだ。
アレル:「まったく…面倒なんだがなぁ…。」
ロイの意見に少しばかり不満だったらしい。
が、命に関わることなので、闘いだけは真剣だ。
アレル:「ささっと終わらせて、のんびり寝るとするかな!」
そう言うと、ベルトに付いている大量の手榴弾へと手を伸ばし、掴み、投げた。
アレルに敵が近づく前に、手榴弾が爆発する。
彼の基本スタイルは、手榴弾による攻撃。
ちなみに、ベルトから外すと同時に、ピンが外れるしかけになっている。
その手榴弾の爆発音の中に、ロック音が混ざり始めた。
手榴弾を投げつつ
アレル:「シアンも、ようやく始めたか…。早く来てくれると、助かるんだけどなぁ〜。」
と、まだうじゃうじゃ居る敵をみてつぶやいた。

巨躯のため、若干スピードが劣るポカフ。
そのうえ、武器がロケットランチャーだ。
ロイ,アレルに遅れること数分。
ようやく攻撃を開始した。
彼の場合、武器が遠距離用なので、そこまで近づく必要はない。
先ほどから、鼓膜が潰れそうなほどの大きな爆発音があたりに響いている。
威力がすごいので、すぐに敵が少なくなってきた。
ポカフはそのせいか、油断していた。
気付いていなかった。
まさか、いつの間にか後ろに周られていたなんて…。
敵のアサルトライフルが、巨体を狙う。
そして―
ポカフ:「うッ!」
思わず片膝をつく。
担いでいたロケットランチャーが、地面へと落ちた。
敵がこのチャンスを逃すはずがない。
一斉に、アサルトライフルの銃口から、弾が飛び出ていった…。
意識が遠のく間際、ポカフの耳に、ロック音がかすかに聴こえてきた。
ポカフ:「シアン…。ごめんよぉ…。」

ロイは、どこか敵を舐めているところがあったのだろう。
自分でも気付かぬうちに、攻撃がワンパターンになっていた。
相手の中にも頭のいい奴はいる。
見切られてしまったのだ。
兵:(ふむやはり…。次は、あぁくる筈だから…今だ!)
引き金を引いた。
ロイの肩に激痛が走る。
なんとかナイフは落とさなかった。
ロイ:(おいおい…マジかよ!?)
動揺がロイの身体を走る。
が、すぐに気を取り直し、ナイフを左手へと持ちかえる。
だが、もう遅かったのだ。
銃口は全て、ロイを向いていた。
ロイ:「ハッ!殺れるもんなら、殺ってみろよ!!」
ロイは叫んだ。
それを合図にしたかのように、一斉に放たれた。
何発かはナイフで弾いた。
が、その動作は、無駄だったようだ。
ロイ:「へへっ…。ありえねぇよな…。この俺が、戦場で死ぬ、なん…て…。」

イーアは、敵を確実に倒しながら、戦況を見極めようとしていた。
数では明らかに不利だ。
「もしかしたら、この4人をもってしても、負けるかもしれない。」
そう思ったからである。
イーア:(やはりここは大将を倒すのが、懸命のようだな…。)
そう心の中で決め、大将を探しながら、敵を倒すことにした。
数分経ち、イーアの耳に、ロック音が入ってきた。
イーア:(シアンがもうすぐ来そうだな。)
そう思ったときだった。
突如後ろに現れた気配。
それに驚きながら振り向く。
が、そこには誰もいなかった。
気のせいか。と思った瞬間。
イーア:「くっ!」
何者かに殴られ、気を失うイーア。
謎の男:「任務…完了…。」
そう呟くと、イーアを肩に担ぎ、
ものすごい跳躍力で、その場から去って行った。

アレルは押されていた。
そう、手榴弾が残り少なくなってきたのだ。
考えて使わなければならない。
アレル:(これって、ヤっバい状況じゃないか…?)
まさに、そのとおりである。
アレル:「だが、ここで出し惜しみして死んだんじゃぁ、くだらねぇよな!!」
アレルは叫んだ。
アレル:「これでもくらいな!!」
持てるだけ持った手榴弾を、敵の塊に投げる。
すごい爆発が起きる。
「どんなもんだ!」と余裕をかましていたら―
アレルの頬を、銃弾がかすった。
アレル:「って、おぉっと!余裕ぶっこいてる場合じゃねぇー!!」
そう叫んだ。
???:「It's right!(そのとおりだな!)」
空から声が降ってきた。
その声の主が、アレルの前に着地する。
敵の攻撃が、止んだ。
突然現れた男に、驚いたからであろう。
そして、こう言った。
???:「Does the leading role appear behind time?
(主役は遅れて登場するもんだろ?)」
その声の主をみたアレルが言った。
アレル:「おっせぇよ。シアン。」
そうケチつけつつも、嬉しそうな表情。
アレル:「さっ、今からが本番だな!」
残りの手榴弾の数など、どうでもよくなってきた。
シアンは、だいぶ少なくなった方だが、まだまだ居る敵の大群を見て
シアン:「まったく、これだけ集まってくれちゃって…」
そう呟きながら、右手に持った銃を構える。
シアン:「楽しすぎて脳ミソが狂っちまいそうだぜ!!」
そう叫ぶと同時に、引き金を引いた。


つづく

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